2023年は「中吉:古きを捨てて新しきにつくがよい」の御神籤どおりの一年だと総括しておこう。

2023年を振り返る。正月の御神籤は「古きをすてて新しきにつくがよい。元気を出して捨てるべきはすて進む所へ進め」で、学問は「自己への甘えを断ち目標を定めよ」だった。

神のお告げの通りに歩んでいるような気がする。この1年はお告げの通り「中吉」だったと総括しておこう。

個人:継続は勢力なり

  • 人物記念館の旅:2005年から1063館。今年39 館。
  • ブログ「今日も生涯の一日なり」:2014年9月28日から7033日連続執筆。
  • 「名言との対話」:8年目の「近代命日編」が終了。2016年から8年で2921日。
  • メルマガ「久恒啓一の学びの軌跡」:1406号。毎週月曜日に配信。

個人:知的生産は出版ラッシュ

  • 『野田一夫の大いなる晩年』
  • 『実年期の肖像』
  • 『図解コミュニケーション全集』全10巻は2020年6月から刊行を開始。2023年は第7巻「世界の名著」を刊行。第8巻は1月刊行予定。
  • 『人生は迷いと決断の協奏曲』(共著)。「千仞の谷を跳んだ人生最大の決断」を執筆。
  • 『戒語川柳』:2023年4冊刊行、計5冊となった。
  • 『名言の暦ーー明治誕生日編』:7冊目。
  • ユーチューブ『遅咲き偉人伝』:2023年23本で、計48本となった。

公人:飛躍の足固め

  • NPO法人知的生産の技術研究会は安定飛行。飛躍の基礎固め完了。
  • 図解塾:「梅棹文明学」の図解PJCT。2年でほぼ完成。月2回。
  • 幸福塾:「倖せの構造」の体系化と具体例が2年で完成。月1回。

私人:家族は安定飛行

  • 妻:夫婦の旅行は群馬、仙台、箱根。短歌はライフワークへ。万葉集、古代。
  • 娘:2人の男女の孫の成長。
  • 息子:孫娘が誕生。(御神籤「母子ともに健康」)。

私人:健康にかかわる習慣の継続

  • 早起き早寝の習慣:5時起床の継続。
  • テレビ体操:2004年から毎朝継続中。6時25分から10分。
  • ウォーキング:毎朝の神社お参り570日。平均7252歩(昨年7421歩)。
  • ヨガ:毎週土曜日に皆勤。2016年から継続中。
  • オステオパシー(整体):3週間に1度、立川で。

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マッサージで今年の疲れをとる。

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「名言との対話」12月31日。寺田寅彦好きなもの いちごコーヒー花美人 ふところ手して 宇宙見物」

寺田 寅彦(てらだ とらひこ、1878年明治11年)11月28日 - 1935年昭和10年)12月31日)は、日本の物理学者随筆家俳人

高知県出身。東京帝大物理学科を出て東京帝大教授になる。物理学者でもあったが、熊本の五高時代から夏目漱石門下でもあり随筆家、俳人としても著名な人物である。

寺田寅彦は、1923年の関東大震災以後は、東大の地震研究所に移って地震の研究に没頭した。寺田もまた関東大震災によってその後の生き方に影響を受けた一人だった。寺田の名言「天災を忘れた頃にやってくる」は人口に膾炙している。

師匠の漱石につかえる寺田寅彦、寅彦の弟子として大成した中谷宇吉郎も、師匠に刺激を受けたくちだ。中谷宇吉郎東大で22歳ほど年上の寺田寅彦に師事し、23歳で理論物理学から実験物理学に進路を変更する。二人の関係は、夏目漱石寺田寅彦との関係に似ている。「科学で大切なことは役に立つことだ」と寺田寅彦の教えにしたがって、問題解決型の研究に従事した一生を送っている。

独特のふちの厚いメガネがトレードマークでテレビでもユーモアあふれる語り口で親しまれた竹内均(東大教授)は、あこがれの寺田寅彦孫弟子を自認していた。師弟関係の連鎖はずっと続いているのだ。

2000年10月23日の朝日新聞で、この1000年で最も傑出した科学者は誰かという面白い企画があり、読者の人気投票を行っている。1.野口英世 2.湯川秀樹 3.平賀源内 4.杉田玄白 5.北里柴三郎6.中谷宇吉郎 7.華岡青洲 8.南方熊楠 9.江崎レオナ10.利根川進 11.鈴木梅太郎 11.西澤潤一 13.高峰譲吉 14.寺田寅彦 15.志賀潔 16.関考和 。以下、朝永振一郎 長岡半太郎 福井謙一 広中平祐 今西錦司などが並んでいる。寺田寅彦は志賀潔よりも上位にきている。日本科学史上に輝く科学者だったのだ。

山折哲雄寺田寅彦 天災と日本人』(角川ソフィア文庫を読んだ。寺田寅彦の名前は受験時代によく見聞きした。試験によく出るのがこの人の文章だったからだ。久しぶりに読むと確かに名文である。寺田寅彦が、地震津波・台風など自然災害の多さを宿命とする日本と日本人について書いた随筆集だ。「慈母のごとき自然」と「厳父のごとき自然」。「文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向」。「科学的国防の常備軍」。「短歌と俳句は、日本の自然と日本人自身をを雄弁に物語るものだ。日本の風物と日本人の感覚のもっとも身近な目録索引が歳時記。座標軸としての時間と空間を表すものが季題である」。

あらためて、オーディブルで、『アインシュタイン』『数学と語学』『科学に志す人へ』『漫画と科学』などの著書や随筆を聞いてみた。やはり説得力のあるやさしい名文であった。

「頭の悪い人には他人の仕事がたいていみんな立派に見えると同時に、又えらい人の仕事でも自分に出来そうな気がするので、おのずから自分の向上心を刺激されるということもあるのである」。この言葉にも励まされる。そして、「興味があるからやるというよりは、やるから興味ができる場合がどうも多いようである」には共感する。

科学者で随筆家であった寺田寅彦には名言が多いが、「好きなもの いちごコーヒー花美人 ふところ手して 宇宙見物」を採ることにした。寺田寅彦の身近な自然や文物、人間に対する細やかな感受性、一方で雄大な科学の世界に中に生きるきていることを感じさせる雄渾な歌である。こういう歌を詠む寅彦は、師の漱石だけでなく、弟子たちからも愛されただろうことは容易に想像できる。私もその一人だ。