2024年1月の寺島実郎の「世界を知る力」。以下、まとめ。
- 2024年は選挙の年:80億人の半分の40億人。1月の台湾の選挙:民進党の頼総統が誕生。得票率は40.05%(前回の蔡総統は57.13%)。2つの野党の合計は60%民進党は61議席から51議席になり少数野党。野党は38議席から60議席。統一は支持しないが中国との関係も重要、が民意だとみる。アメリカへの期待、信頼は高くない。迷いと冷静。中国は軍事統一は回避、現状固定化。経済の苦境もあり現実主義に。
- アメリカの分断(寺島の過去を再考し付加価値をつけて進化するというスタイル):前回の大統領選挙。「赤いアメリカと青いアメリカ」。赤のトランプは7422万票で内陸中心、白人票の58%が投票。青のバイデンは8128万票で海岸、若者の60%、女性の57%が投票。「ホワイトナショナリズム」:白人比率は現在55.4%、10年経つと半分以下になる。その焦燥感。
- アメリカ経済:1950年27%、1994年26%、2022年25%と持ちこたえている。日本は3%、18%、5%。アメリカのバイタル産業:西海岸のシリコンバレー(GAFAM、ビッグテック)。東海岸のウォールストリート(金融)。南部のヒューストンの世界一の化石燃料(石油・LNG)。グレートプレーンズ(大平原)は農業大国の証。「貧困と格差」:貧困ライン(子ども2人の4人家族)は2000年は17463ドル(188万円)、11.5%。現在は29678ドル(390万円)とボトムアップ。1%が半分以上という格差。
- 2024年11月のアメリカ大統領選:81歳のバイデンと77歳のトランプという不毛の選挙か。2つの疑問:なぜトランプ現象が続くのか:2つの州で立候補禁止、4つの訴訟。これはきれいごとをいうリベラルへの失望だろう。率直な本音、アメリカファーストに拍手。反環境、反移民、反ジェンダー。ヘンリー・フォードは自動車産業、トランプは不動産業でディール(取引)が本質、創造的ではない。なぜWASPの25%のキリスト福音派の熱狂的支持があるのか(イスラエル支持):9・11のイスラムの脅威にクリスチャン・シオニズムが台頭(キリスト復活時に困る)。下院の反シオニズム反対、財界は大学にも支援しない風潮。
- ウルマン「アメリカはなぜ戦争に負け続けたのか」:ハルバースタム「ベストアンドブライテスト」のベトナム戦争、イラク、アフガンの失敗・原因は内なる敵。内部崩壊。リーダーの能力の低下。地域への理解の欠如、空洞化した軍の非効率。
- 分断の考察:政治思潮:特別、例外の偉大なアメリカ・19世紀末まではモンロー主義、20世紀に経済力。理念の共和国としての「国際主義」と「自国利害中心主義」の分断の中で、しだいに手を引く「後退主義」になるだろう。経済思潮:「米国のビジネスはビジネス」。19世紀末のフォーディズム(産業資本主義)、20世紀の資本主義の勝利、21世紀は「金融資本主義」「デジタル資本主義」「エネルギー革命」。民族・宗教:本来は宗教の自由。主役から降りつつあるWASPのイスラムへの警戒という「クリスチャン・シオニズム」の台頭。
- アメリカの変化は世界のリスクだ。もしトランプが勝ったら(もしトラ)、日本はどうなるか、どうするか。
- 「平和と戦争」:戦争は日常をぶち壊す。「非核へ話主義」を大事にしよう。アメリカの戦争に巻き込まれないように。それが今年のテーマ。レジリエンス(耐久力)が問われる。
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午前:南大沢。NJ出版社の編集者とミーティング。「大全」。
昼:新宿伊勢丹本館7階「TORCA」で橘川さんと
夕方:立川で整体。
夜:デメケンミーティング。力丸君との定例。
今日も1.2万歩。最近1週間は平均1万歩。
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「名言との対話」1月22日。常磐新平「臆病になるな、他人の目や陰口にとらわれず、自分のやりたいことに忠実になろう」
常盤 新平(ときわ しんぺい、1931年〈昭和6年〉3月1日 - 2013年〈平成25年〉1月22日)は、日本の作家、翻訳家であり、アメリカ文化研究者である。
岩手県出身。仙台の第二高等学校、早稲田大学文学部英文科、大学院卒業後、早川書房に入社。海外の文学作品、スパイ小説、冒険小説などを紹介する「ハヤカワ・ノベルズ」を創刊し、人気シリーズとなる。早川書房のSF以外のすべての編集長の立場となる。
1969年に退社。翻訳家としてアメリカの雑誌や人物を紹介した。エッセイスト、作家としても知られるようになる。ウォーターゲート事件を追及した新聞記者を描いた「大統領の陰謀」、虐げられた移民の観点からマフィアを描いた作品や小説の翻訳を手がけた。
1986年には『遠いアメリカ』で直木賞を受賞する。アメリカのペーパーバックを読み漁り、翻訳の勉強に没頭する自身の大学生活を描いた自伝的作品だ。
NHK「あの人に会いたい」をみた。朴訥な印象の人である。好奇心が旺盛な人。本を読むことも冒険。人と会うことが苦手で1冊3カ月かかる翻訳は向いていた。そう語っている。
常盤新平の師匠は5歳年上の直木賞作家・山口瞳であった。サラリーマンの生態や心理をよく知った山口瞳の31年1614回続いた「週刊新潮」の連載『男性自身』を、たまたま読んだのがきっかけで出入りするようになった。山口瞳の13回忌を迎える頃書いた『国立の先生山口瞳を読もう』には、国立に住む師匠の山口瞳への思いがつまっている。
師弟の系譜を考えた。夏目漱石、内田百閒、高橋義孝、山口瞳、常盤新平と文筆の流れがある。これをたどるのも面白いだろう。「仰ぎ見る師匠の存在」の項でいつかまとめてみたい。
常盤新平の言葉では、「臆病になるな、他人の目や陰口にとらわれず、自分のやりたいことに忠実になろう」をとりたい。「他人の目、他人の口、つまり世間を気にしずぎることをやめて、自分自身の為すべきことを為そう。こういうことを言うようになった自伝的小説『遠いアメリカ』を読みたい。