「ムンク展ーー共鳴する魂の叫び」(東京都美術館)ーー「私は見えるものを描くのではない、見たものを描くのである」

東京都美術館で開催中の「ムンク展ーー共鳴する魂の叫び」を先日みた。

ムンクノルウェーの国民的画家である。20世紀における「表現主義」の先駆け。代表作は「生命のフリー図」の中核をなす「叫び」。現代人の不安や疎外感を表す普遍的なシンボルになっている絵画だ。ムンク自身、憂鬱、病気、」アルコール依存症、孤独、狂気、不幸、女性嫌悪、などに苦しんだ。

ムンクは80年の生涯を通して自画像を描き続けた。カメラでも腕を伸ばして自身を撮影した。「自撮り写真」の先駆者ともいえる。ムンクは自身が老いてゆく過程を記録することに興味を持っていたのだ。「汝、自らの人生を記せ」と唱えた革命的思想家ハンス・イェーゲルを中心とするボヘミアンの影響を受けていた。

ムンクの言葉

「私は見えるものを描くのではない、見たものを描くのである」

「読書する人や編み物する女のいる室内画を、もう描いてはならない。呼吸し、感じ、苦悩し、愛する、生き生きとした人間を描くのだ」

「自分の絵に囲まれているとき、私は最もよい仕事ができる。絵が一同に並ぶとそれらが含意するものによって互いに連関していくにを感じたーーーそれらが不意に共鳴し始めたのである。個々に展示されるのとはまったく違う。それは交響曲となった。

「私の芸術は、人生の不均衡を解明しようとする思索から生まれた。何故、私は他の人と違うのか? 頼みもしないのに、なぜこの世に生を受けたのか? この呪いと、それをめぐる思索が、私の芸術の礎となった」

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「夕暮れに道を歩いていたーー一方には町とフィヨルドが横たわっている。私は疲れていて気分が悪かったーー立ちすくみフィヨルドを眺めるーー太陽が沈んでいくーー雲が赤くなったーー血のように。私は自然をつらぬく叫びのようなものを感じたーー叫びを聞いたと思った。私はこの絵を描いたーー雲を本当の血のように描いたーー色彩が叫んでいた。この絵が「生命のフリーズ」の「叫び」となった」。

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大学

・センター入試説明会

・学部運営委員会

・教授会

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「名言との対話」12月19日。大東隆行「リーダーは指導者でなくてはならんと思っています。支配者でも管理者でもいけない」

リーダーは「湯気が出ている背中」を下の人間に見せなければいけません」

大東 隆行(おおひがし たかゆき、1941年3月8日 - 2013年12月19日)は、株式会社王将フードサービス代表取締役社長。

義兄の加藤朝雄が1967年に創業した「餃子の王将」1号店へ1969年に入店。2000年に社長へ就任した。不動産投資の失敗などで有利子負債470億円、倒産寸前だった。

社長就任後は毎朝6時前には出社し、本部のある会社の玄関を自ら開錠しては、玄関駐車場を掃き清めて散水していた。昼には自身でトイレ掃除をしていた。社長就任の翌年から黒字に転換した。

王将には、4つのこだわりがある。王将の魂・餃子、手づくり料理、安全・安心、おもてなしの心。看板商品は餃子で国内のあらゆるところから食材を調達する。手づくりのオリジナル料理をつくるスタッフは高い調理技術を持つ料理人だ。私も何回か王将で食べたことがある。

2013年12月19日早朝、京都の王将本社前で自分の自動車の近くで倒れていて死亡する。銃弾4発を急所に打ち込まれていた。いまだに未解決の事件である。

・料理は魂、食は雰囲気

・ピンチにしないように早めに手を打っているんです。数字を毎日細かくチェックして、ちょっとした変化を見逃さないようにしている

・本社ビルはご覧のとおりボロボロです。ビルはカネを生みません。しかし、コンピュータにはカネをかけました。

・正直に言うと、『再建した』というよりも、『勝手に再建していった』という方が正しいな。毎日無我夢中やったからな。どんなときでも、自分にやれることはそんなに多くない。問題に対して考えられる策を、ただ実行するだけなんや。

・商売は人です。僕の目標は王将の仕事を通して人を残すことです。

・人間の値打ちは優しさと愛嬌だ。

中退した経理専門学校で身につけた数字を見る目と、人を大事にする姿勢が、倒産の危機を救った。大東隆行は 「「湯気が出ている背中」を下の人間に見せなければいけません」というリーダー像も語っている。料理の現場を彷彿とさせる「湯気が出ている背中」は言い得て妙だ。支配者という勘違い、管理者という誤解は、ちまたに多い。それがパワハラになり、部下からの信頼不足になる。未来を指し示し、率先垂範する指導者の姿をみることができる。こういう人がなぜ殺されたのだろうか。この事件は追いたい。