リレー講座:真壁昭夫先生「世界経済と金融市場の動向」

リレー講座。真壁昭夫先生「世界経済と金融市場の動向」

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 ・アメリカ:潜在成長率1.8%(実力)。GDP(企業の儲けと個人の給与)2018年4-6月期4.2%、7-9月期3.5%。だんだん減速するが、失速はしない。利上げは年内1回、2019年2回か。2020年は厳しい。米中摩擦は覇権争いで長く続く。覇権争いは100年単位。11月30日からの米中会談あり。

・日本:景気は海外次第だ。2019年には2つのイベントあり。夏の参院選は自民が勝つためには景気をよくしたくなる。消費増税に向けてのバラマキで税収は上がらない。2020年までは景気を維持する。オリンピック以降は円高になる。

・世界:アメリカは金利の動向に注意、GAFAには規制がかかり高収益は期待できなくなる。新興国では中国は減速、その影響で蓄積のないアセアン諸国は厳しくなる。欧州はドイツの政治的リスク、イタリア。中東はサウジの不安。

・日本:2012年11月の底以来景気上昇中、円安で輸出企業が潤った、為替差益が大きかった。2019年はドル安で円高になるだろう。海外頼みの国内経済だ。人口減でも成長はできる。その核は「イノベーション」だ。新しいことをやること。この意欲!

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知研の高橋さん:野田先生を囲む会。中部。台湾。、、。

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 「名言との対話」11月29日。林雄二郎「情報化社会」

林 雄二郎(はやし ゆうじろう、1916年大正5年)7月27日 - 2011年平成23年)11月29日)は、日本の官僚未来学者。

1940年に東京工業大学卒。1942年に技術院に入職。戦後は経済安定本部経済企画庁で長期計画に関わる。1959-1960年にフランス留学。1965年。下河辺淳宮崎勇らとともに「1985年の日本人のライフスタイルを検討する会議」で「林リポート」をまとめる。1967年、東京工業大学社会工学科が新設される際に教授に就任。1969年、1971年、財団法人未来工学研究所所長。1974年にトヨタ財団設立時に、専務理事に就任。1988年より1994年まで東京情報大学初代総長。1994年に日本財団の顧問に就任。日本フィランソロピー協会会長。2011年11月29日、老衰により死去。95歳。

1969年発刊の 名著『情報化社会』の発行により、情報化社会という言葉が社会的に認知された。以下、この本のまとめ。---情報とは意思決定に影響を及ぼす知らせである。情報化社会においては知識産業が主導的立場に立つ。コンピュータは人間の頭脳に非常に近い形(AI)で、そのままの形でパターン認識することが可能になるであろう。そういった社会では有効な無駄を常にソフトにセットしておくことが必要だ。日本は情報化社会における先駆者的な国として、21世紀を迎える前に世界の先達的な位置に立つであろう。いいことも悪いことも、世界の中で一番最初に日本の国民が経験する。直面する課題をうまく解けば、日本は名実ともに世界の最先進国になる。うまくいかなかった場合には、最先進国に近いような形をしていながら、一歩中にはいると、世界一ノイローゼの患者の多い国、世界一犯罪者の多い国、世界一欲求不満の満ち満ちている国、といったような、まことに奇妙な国になってしまうかもしれない。日本は他の先進国に範を求めず、自身の運命を切り開いていかねばならない。

この本で、 林は未来学を提唱している。量的な側面と同時に質的な側面での予測を正確に行えるような、新しい方法論の開発が必要だと主張。この議論に影響を与えた梅棹忠夫加藤秀俊小松左京川添登らと結成する日本未来学会につながっていく。林は学会の会長も努めた。現在、私も日本未来学会の理事を拝命しており、「社会工学」を専門とした林雄二郎の影響を受けた人たちと動き始めたところだ。50年前に書かれた『情報化社会』の予言と警告は、今なお生きている。

 

情報化社会 復刻版―ハードな社会からソフトな社会へ

情報化社会 復刻版―ハードな社会からソフトな社会へ