東日本大震災から10年ーー「思い出を語るだけでなく前に向かおう」「全体を知ったうえで個別を語ろう」

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「3・11 東日本大震災」の10周年。ラジオ日本の1時間の記念番組。寺島実郎さんの発言を追いました。

  • 防災は基盤。対応できたか、教訓は何か、復興は進んでいるか。人口は6-7%減少、人を引き寄せる産業基盤はできているのか。
  • 個々の県・市町村は立ち向かっているが、国のレベルの全体の構想はできているのか。東北6県全体、日本海など、広域の視野の復興計画はあるのか。東北はどう日本を支えるのかという構想。
  • 東北の強みの自覚が必要。食糧自給率は岩手106%、宮城74%、福島78%。東京1%、神奈川2%。東北では食はすぐ近くにある。食と農・水産。生産・加工・販売のバリューチェーンを見つめよ。コロナ禍による分散で東北のポテンシャルはあがっている。
  • 阪神淡路1995年、東日本大震災2011、現在2021年。何が進化したか。携帯は人口の1.3倍あり電源さえ確保できれば有効。5.6万のコンビニで弁当、おにぎりを配れる仕組み。個々人の備え以外に、システムとしてつなげる仕組みが必要だ。
  • 広域の復興計画。食糧自給率(カロリーベース)はアメリカ130%、70%程度のイギリスを除き先進国は100%以上。日本は37%まで落ちてきた(生産額ベースでは66%)。(1965年73%。200年40%。2025年45%が政府目標)。(マスクの8割、防護服は100%が輸入。医療・防災産業。安全を基盤産業に。なんとなくではだめ。日本総研のプロジェクトで医療・防災、超党派の議員も参加。コンテナ。PCR検査、診療所、水まわり、備蓄倉庫。若者が参加したくなるようなプロジェクトを大人がつくりだす。思い出を語るのではなく、前に向かって個別要素を組みたてていく。エンジニアリング。
  • 10年で32兆円使った。復興税は今後15年2.1%(所得税は2013年からの25年間、税額に2.1%を上乗せ。法人税、住民税を含め、10.5兆円)。コロナで配られた10万円で14兆円。誰が負担し、誰を支えるのか、何をするのか。若い人は断片でなく、全体を知ったうえで個別を語れ。この10年何をしてきたのか、今後どうしていくのか。

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橘川・久米対談:VR石花。仏教未来フェス。五條堀先生。DR.STONE。Bunkamuraの写真家ドアノー展。参加型社会学会。

復興特別番組を左耳で聞きながら右耳で二上先生のリテラシー塾のお試し講座を聞く。:「引用」。citation(言及・根拠)とquatation(直接引用)。ビブリオメトリクス(計量書誌学)。文化遺伝子ミーム。分野ごとの慣例。論文には「件名」はない。、、、、。

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「名言との対話」3月11日。二階堂 暹「ここで生まれ ここにいる ーーわたしは麦100% 大分むぎ焼酎 二階堂」

二階堂 暹 (にかいどう・あきら 1930年3月11日〜2006年9月16日)は、 大分麦焼酎の代表的なメーカーである二階堂酒造有限会社の社長。

二階堂酒造の歴史をながめよう。1866年二階堂酒造場(屋号/喜和屋(きわや))創業。1951年、二階堂 暹(六代目)が杜氏となり麦による麹の製法開始。1973年、はだか麦100%を使用しての「むぎ焼酎」を開発。1974年、むぎ100%のむぎ焼酎を発売、むぎ焼酎ブームの火付け役となる 。

1979年、むぎ焼酎への使用法の研究を進め、1973年麦独特の風味ある焼酎の開発に努め、むぎ焼酎製造メーカーの先駆者として県内企業の経営安定をはかり、麦消費量の増加に努めた功績により、農林水産省より「第一回食品産業優良企業賞」受賞(全国酒造界で唯一社)。1995年、二階堂暹が代表取締役会長に就任し、二階堂雅士が社長となる
この間、「熊本国税酒類鑑評会」において毎年優等賞受賞。

 2016年に母と別府へ旅行した時、1994年に開館した日出町の二階堂美術館を訪問したことがある。今思えば建設したのが二階堂暹だった。珍しい近代日本画専門美術館で、もともと集めていた近世の南画などに加えて、日本の近代画も蒐集し、2016年現在では950点にのぼっていた。その日の企画展はどうぶつの絵画で「にかいどう動物園ーー日本画家が描く動物画の世界」。虎、鷹、馬、鶴、鶴、猫、犬、椋鳥、鳩、イタチ、栗鼠。狸、兎、黒兎、猿、孔雀、軍鶏、丹頂鶴、、、、。奥村土牛竹内栖鳳加山又造速水御舟橋本関雪横山大観小林古径、小杉放庵、前田青屯、杉山寧、上村松園、などの名画を堪能した。

二階堂酒造は、 むぎ焼酎の「二階堂」と「吉四六」(きっちょむ)が代表的商品だ。最近、立川澄人のことを調べていて、1973年、出身地である大分県の民話にちなんだ創作オペラ「吉四六昇天」(清水脩作曲)に特別出演した映像をみた。大分県中南部で伝承されている、とんち民話の主人公の吉四六は40代半ばの立川清澄だ。馬の糞から銭が出てくる話など。「おもうちょる」「売っちゃる」など、懐かしい方言がふんだんにでてくる。二階堂酒造のむぎ酎「吉四六」はこの民話に因んだ命名だ。同じく大分県宇佐市の焼酎の名前にもなっている「いいちこ」という方言も中津出身の私にはなつかしい。

この会社は哀愁とノスタルジーを誘う芸術性が高いテレビ・コマーシャルなどの広告が有名だ。1987年より放送が始まって、毎年テーマが変わる。1987年「自然」。1988年「水の旅」。1989年「街の夢」、1990年「刻のオブジェ」、1991年「森のオルガン」、1992年「私の道」。1993年「文士」、1994年「風の棲む町。ここまでは二階堂暹の社長時代。 、、。2017年「人生の特別な一瞬」「島影の詩」。2018年「伝え合う力」。2019年「本を読む人々」では、「いつのまにかつぶやきすら大声になってしまった。出口のない喧噪の中で、沈黙だけが語る続ける」とのナレーションが入る。2020年「記憶の結晶」では、「風の歌で眠り、雨のささやきで目覚めた。残されたのは、記憶をノックする匂い。行き場のない記憶を、三日月だけが照らしている。むぎ100%大分むぎ焼酎 二階堂」とのナレーションが映像とともに流れる。

それぞれ素敵な出来栄のCMで、二階堂暹の人生観、世界観、宇宙観が刻まれていて好もしい。1992年の「森のオルガン」のナレーションは「ここで生まれ ここにいる」だ。主人公として擬人化された麦焼酎が語る言葉だが、二階堂自身の心持だろう。2020年版をみてもそのトーンは続いている。社長を退いてから半世紀、二階堂暹のDNAはまだまだ生きている。