プレジデントオンラインで流れると、YAHOO!ニュースがそのまま取り上げてくれています。3連発で、『50歳からの人生戦略は「図」で考える』のアマゾンの順位も、20000台から、3000、1000、500と急上昇中。
18日。
プレジデントオンラインで流れると、YAHOO!ニュースがそのまま取り上げてくれています。3連発で、『50歳からの人生戦略は「図」で考える』のアマゾンの順位も、20000台から、3000、1000、500と急上昇中。
18日。
7月の寺島実郎「世界を知る力」の内容を反芻してみました。
今月の世界と日本経済。
アベノミクス「日本をとり戻す」ーー8年経って「日本の埋没」に拍車をかけた結果になった。
3本の矢は飛んだか?
第1の矢「金融緩和」:マネタリーベースは121兆円から555兆円。4.6倍。貸出残高は25%しかアップしなかった。資金需要はなかった。
第2の矢「財政出動」:予算567.5兆円(コロナ対策76,6兆円を含む)。赤字国債。国の借金は992兆円から1216兆円に増加。GDPの2.3倍。後代負担になる。
「デフレの脱却」が政策目標だった。調整インフレ政策だ。しかし2020年の消費者物価指数は0.0%となり、失敗だった。
安倍政権は「2020年にGDP600兆円」という目標を掲げた。2020年は実際は名目GDP536兆円。2007年の水準、25年前の1996年の水準に戻ってしまった。
第3の矢「成長戦略」:2012年から2010年の国民生活はどうなったか。2012年から2020年の給与は0.97%アップ。物価は5.6%アップ。家計消費支出は▲2.8%。国民経済についての第3の矢は飛ばなかった。
株高:実質GDPは▲4.0%、株価は2017年から2020年で40%アップ。公的資金80兆円の注入(年金GPIFの4分の1。日銀の直接ETF買い)。政治主導。個人株主の70%の高齢者に恩恵。コロナ下でも株価はアップした。
円安(79円80銭ー110円):輸出企業にはよかった。輸入企業にはよくなかった。企業には総じてプラスだった。食糧やエネルギーは高くなった。
格差と貧困の拡大。非正規社は2000年に25%、2020年は雇用者の37.2%と4割に近い。
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産業の現場はどうなっているのか?。
・技能オリンピック。2001年から2011年には1位から3位の上位だった。2017年にアブダビ9位、2019年にロシアで7位に後退。現場力の低下だ。56種目(フラワーアレンジ、ビューティセラピー、お菓子、洋裁、レストラン、ホテル接遇、造園、看護、介護、、、)。現場はコンピュータ化だから大丈夫、熟練工は必要ないというが、そうか? 日本の埋没を象徴。若者の光が当たる、健全な日本の産業、資本主義にしなければならない。
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人類史から「人間とは何か?」。
情報科学と生命科学、人類学の急速な進展によって社会科学も変わらざるを得ない。21世紀のAI(人工知能)と人間の違いは何か? ヒトゲノムの解読によって、動物と人間の違いは何か?
ビッグヒストリー(宇宙の中の地球46億年、微生物30億年、ホモサピエンス20万年、新参者だ)。グローバルヒストリー(西洋史・東洋史の連携とつながり)。
2003年にNIHでヒトゲノムの解析が終わった。ヒトとチンパンジーのDNAは1.2%の違いしかない。個体差を入れると1.06%しか違いはない。それは言語、表現、意思疎通に関わる能力である。社会的生物。
人はは生きる意味と歴史を問いかける存在だ。時間軸の中で。10万年前に「認知革命」。自伝的記憶力。シナリオ構築、他者との連携。創造力(クリエイティビティ)と想像力(イマジネーション)。木から落ちた猿となり二足歩行と器用な手先が生まれた。環境に適応しながらDNAを進化させてきた。「The GAP」(現実を生きるサル・空想を語る人間)。「創造する力」(写実的記憶力の瞬発力はサルが強い)。相対化。
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「グレートジャーニー」。旅する遺伝子。環境変化に対して驚き、目を覚ます、克服する力。環境適応動物。
ホモサピエンスのアフリカ単独起源説。雨、生命の森。35万年前に旧人・ネアンデルタ―ル人はホモサピエンスと交雑しそのDNAが組み込まれた。20万年前に脱アフリカ。10万年前に認知革命が起こり、自伝的記憶力を得る。
6万年前からユーラシア大陸へ移動。食糧を求めてという説、寒冷期から温暖期の気候変動説、感染症からの脱出説。3.8万年前に日本列島に到着。ヤポネシア。1.7-1.0万年前の温暖化。1.4万年前に縄文。
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「定住革命」。19万年の移動による進化を経て、1.5-1.0万年前に新生人類が定住。狩猟から農耕へ。コミュニティに身を置くことになった。嫌いな人とも同居。「利他心」の芽生え。配慮、つながりの大事さ。世界宗教の誕生へ。
「人類全史」(ラザフォード)は農耕によってDNAが変化した(ミルクを消化するDNA)。
ジェームズ・スコット「定住による穀物の栽培は進化か退化か」、家畜化によって国家、組織の奴隷になったのだ。
ニコラス・クリスタキス「ブルー・プリント」。進化とは社会性の獲得、協力・友人・学習。
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「アイスマンの衝撃」。1991年にアルプスの3200mの氷河の谷間で5000年前のヒトを発見。DNAから。瞬間冷凍。157.5Cm、50キロ。45歳前後。O型。男性。殺された。同じ種族の中で殺し合う動物は人間だけだ。胃袋から豊かな食生活がわかった。肉類と穀物、農耕牧畜社会。衣服はシカ・ヤギ・羊の毛皮、マント。身体のツボに刺青がある、一定の医療行為。DNA解析から現在のオーストリアのチロル地方3700人の中で19人の子孫が確認された。
「縄文文化のダイナミズム」。縄文は1.4万年前から5000年前、その後期縄文時代に土偶のダイナミズムがある。アイスマンと縄文人は同時代だ。
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「中年の危機」の克服には「出会い」と「使命感」。自分を見つめ直す出会い。何をするために生きているのか、目的をもって腹をくくる瞬間、使命感を持つ。
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立川:整体の後、昼食を摂りながら、知研の今後について福島さんと意見交換。
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「名言との対話」7月19日。猿谷要「「私はアメリカとの付き合いに、一生をかけてきたような気がする」
猿谷 要(さるや かなめ、1923年7月19日 - 2011年1月3日)は、日本のアメリカ史研究者。
東京生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。ハーバード大学の客員研究員などを経て、1971年に東京女子大学教授となる。
第2次世界大戦中は陸軍パイロットで、敵国アメリカに興味を抱いたのが研究の道に入ったきっかけという。黒人や日系アメリカ人、さらに少数民族などの視点からの研究を専門とする。軽快な語り口で歴史叙述を行い、アメリカ史についての知識を広めることに貢献した。
アメリカ大統領は国家元首、行政府の長、陸海空軍の総司令官、政党党首、そして道徳を体現するリーダーであるから、大変な重責だ。この本は歴代の40数人の大統領のそれぞれの紹介をしながら、アメリカ史を概観できる構成になっている。それぞれの大統領が登場した背景、業績、私生活などが手際よくまとめられている、総責任者としてこれ以上の人はいないだろう。
大統領のランクづけが興味深い。学者とジャーナリストが数十名参加してランクが5段階で決まる。Aランクは11人いる。1位はリンカーン。2位はワシントン。3位はFDRルーズベルト。4位はセオドア・ルーズベルト。5位はアイゼンハワー。6位はトルーマン。7位はジェファーソン。8位はケネディ。9位はレーガン。10位はジョンソン。11位はウィルソン。そしてオバマは12位でBランクのトップと高い評価となっている。
18世紀末から19世紀初めの建国時、19世紀の中盤の南北戦争という国家分裂の危機時、そして20世紀の前半から中盤にかけては7人も選ばれている。20世紀はアメリカの世紀であることがわかる。
猿谷は建国時というもっとも困難な時期にワシントンのような卓越した人物がいたことを幸運としている。2代目のアダムズについての項を終えるにあたって、「建国の祖父」の時代と記している。この本は、猿谷が育てた弟子たちのリレー執筆となっており統一感があり、また副大統領、ファーストレディなどのコラムも読ませる。人物によるアメリカ史になっており、優れたアメリカ史入門書だと感じた。
猿谷要は1956年の「アメリカ発展小史」(三和書房) から、2009年の「アメリカ黒人解放史」(二玄社) まで、アメリカに関する40冊に近い大量の本を書いている。
黒人史。アメリカ史。リンカーン。旅行記。西部開拓史。日米関係。ニューヨーク。キング牧師。ハワイ王朝。女性。アメリカ史の人物。ケネディ。、、、、。まさに一生をかけて追い求めたライフワークは壮観だ。一人の人物が一つの国についてこれほどの質の高い大量の本を書くことに驚きを覚える。私もいくつかの本は手にした記憶がある。
アメリカを熟知した猿谷は、晩年になって編集した2003年刊行の「アメリカよ!」では、イラク戦争で浮き彫りなったアメリカの姿の読み方を、各界28人のアメリカ通の緊急提言をまとめて提示している。
その延長線上に、2006年刊行の「アメリカよ、美しく年をとれ」(岩波新書)を書く。若く躍動的な国であったアメリカは、20世紀には超大国になった。そして21世紀を迎えて衰退の兆しがみえる。アメリカをこよなく愛する猿谷は、大英帝国と同じように、アメリカには老醜をさらさずに、美しい姿で生き延びて欲しいと願う。長年の恋人を心配している心境を語っている。
「私はアメリカとの付き合いに、一生をかけてきたような気がする」と述懐している猿谷要の、アメリカへの最後の愛のメッセージだ。
「プレジデントオンライン」で3日連続して内容が流れることになりました。今日は初日。さて、どうなるでしょうか。
・プレジデントオンライン。「今の50歳は、昔の30歳」 新たな人生戦略を立てるなら50歳が絶好である理由
50歳からの人生戦略は「図」で考える | PRESIDENT STORE (プレジデントストア)
・YAHOO! ニュース。「今の50歳は、昔の30歳」新たな人生戦略を立てるなら50歳が絶好である理由(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース
niftyニュース、exciteニュースでも同様の記事が流れている模様。
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昨日は肉体労働をしたせいか、延々と寝てしまいました。午後。夕方から夜。深夜から早朝まで。12時間以上。
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書斎の片づけ。
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「名言との対話」7月18日。小池和男「知的熟練」
小池 和男(こいけ かずお、1932年7月18日- 2019年6月18日)は、日本の労働経済学者。
新潟県出身。労働経済学専攻。1960年 、東京大学社会科学研究所助手。1963年、経済学博士。1963年 法政大学経営学部専任講師、のちに助教授。1970年 名古屋大学経済学部助教授、のちに教授。1981年、 京都大学経済研究所教授(比較産業研究部門 1986年4月より比較経済研究部門)。1986年10月 京都大学経済研究所長事務取扱、1987年京都大学経済研究所長。1988年 法政大学経営学部教授。2001年 東海学園大学経営学部教授。2004年 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授。
1979年『労働者の経営参加』でサントリー学芸賞、1988年『人材形成の国際比較』で大平正芳記念賞受賞、1996年に紫綬褒章受章。2009年『日本産業社会の「神話」』で読売・吉野作造賞受賞。2014年文化功労者
「欧米諸国でも内部昇進制や先任権制度があるから、日本と変わらない、つまり日本は全然特殊ではないという議論」で、長く日本の労働形態を肯定的にとらえた論調をとった。日本的経営、特に日本型雇用システムに関する代表的な論客だった。徹底した聞き取りを武器に丹念に国際比較を行うスタイルは説得力があった。
私は29歳でロンドン時代に書いた社内レポート「ロンドン空港労務事情」を労働経済学の泰斗である名古屋大学の小池和男教授に送ったところ、中央公論に載せなさいと、季刊・中央公論「経営問題」に紹介された。編集長と会って社長から推薦をもらってくれるということになったが、紆余曲折があり最終的には広報部次長の深田祐介主宰の企業の課長クラスの座談会となり、その中で少しだけ紹介してもらったことがある。日本的経営を現場から論じた論文という位置づけだった。足元を研究すると時代にテーマとつながることがわかり、それ以来真面目に仕事に取り組む決意をした。1977年刊行の『職場の労働組合と参加』、1981年の『日本の熟練』をはじめ、この人の本をよく読み、自分のフィールドの改革と改善に役立てた。恩人の一人でもある。
2015年の「文藝春秋」7月号では、「米国型「社外取締役」は無用の長物だ」という特集があり、優れたジャーナリストである東谷暁の一刀両断の摘発があった。この中で紹介された小池和男「なぜ日本企業は強みを捨てるのか」(日経)を手にしたこともある。この人は実に長く活躍した人だ。
この度、小池和男『「非正規労働」を考える』(名古屋大学出版会)を手にした。84歳の2016年5月刊行である。本人も「老い先短い」「老人」と自らを説明しており、2019年に亡くなっているから、遺言であるともいえる。
「はしがき」で「かつて働き盛りの時期に12年もつとめた大学の出版会」から出す幸運に感謝している。私が名古屋大学の小池研究室を訪問したのは、この時期だったのだ。
この本では、製造業だけでなく、第三次産業のサービス業についても丁寧な観察をしている。「非正規労働」にはそれなりの経済合理性があり、どの国にもあり、戦後日本の1950年代、1960年代の大手製造業ではブルーカラーの半数は非正規だったとする。非正規には弊害もあるからといって全員を正規にする必要はない。合理性を踏まえたうえで、弊害をできる限り除去することが重要だ提言している。
また高度な非定常の作業が多い中核的技能は非正規雇用では形成は難しいから、仕事表方式は無理であり、さまざまな体験をさせてじっくりと育てるほかはない。そのためには、労働組合の役割を高度な仕事を担うホワイトカラーにも広げて、専従者のサラリーを企業が負担せよと主張している。
この本の中では、非正規労働が4割近くまで増え続けている現状をどのように考えているのだろうか、についてはわからなかった。小池和男は正規労働の中でも高度な仕事を担当する人たちには残業規制を撤廃しようとする動きを肯定しているようにみえる。また、近年でてきたジョブ型という仕事の割り当ての方法は、小池の主張からすると、変化とトラブルへの対処という高度な仕事には知的熟練が欠かせないから、なじまないことになるだろう。
今週月曜日から土曜日までの一週間、折に触れて 新著『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(プレジデント社)を書店に探してみました。
新宿「紀伊国屋」
東京「八重洲ブックセンター」
品川「くまざわ書店」
多摩センター「丸善」
池袋「天狼院書店」。
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「名言との対話」岩井保「不備な点が多々ある入門書になったが、高度の専門書への橋渡しになることを私はひそかに願っている」
岩井保( いわい たもつ 1929年7月17日〜2014年10月23日)は、生物学者。
島根県生まれ。1961年京都大学大学院農学研究科博士課程修了。京都大学農学部教授。専攻は魚類生物学。主な著書に『水産脊椎動物2 魚類』『検索入門 釣りの魚』『魚の事典』(分担執筆)『旬の魚はまなぜうまい』などがある。
『魚学入門』(恒星社厚生閣)を読んだ。「入門」とタイトルにあるが、相当なレベルの人向きの入門書だ。実に深い世界が横たわっていることに圧倒される。これを機会に魚学を少しだけ学んでみよう。
魚類は化石に残っているカンブリア紀(500万年ー6000万年前)から始まって、繁栄と絶滅の栄枯盛衰を繰り返しながら進化している。この本を書いた時点で、世界では25000種確認されており、毎年200種ほど増えている。日本近海では2500種という説を紹介している。おざっぱにいって、日本近海には世界の1割の魚がいると覚えておこう。
無顎類、軟骨魚類から始まって魚類の分類を論じた後、「分布と回遊」「体系と形態測定」「体表の構造」「筋肉系」「骨格」「摂食・消化系」「呼吸器」「循環系と浸透調節」「神経系」「感覚器」「発音、発電、発光」「内分泌系」「生殖腺と繁殖洋式」「仔魚・稚魚」と続く。人間の人体と同じだ。
第13章の「摂食・消化系」では、食性には動物食性、肉食性、植物食性、草食性、雑食性などを紹介している。成長段階で食物の種類はかなり違うとのことだ。
第20章の「発音、発電、発光」では、これらはコミュニケーション、防御mあるいは攻撃などの手段として重要な役割を果たすとしており、一部の魚類ではこれらの行動に適した特殊化した構造が発達する。多くは、警戒、威嚇、コミュニケーション、求愛などで音を発する。シビレエイ、エデンキウナギなどの発電魚は、放電によって捕食、防御、コミュニケーションなどを行う。強電気魚と弱電気魚がいる。
岩井保は1949年に恩師から、魚類を大学ノートに転写する手仕事を最初に指示された。この作業の過程で記載の要領と図の描き方を習得している。植物学の牧野富太郎の写生能力に驚いたことがあるが、写真の発明や複写機器などがあらわれる以前は、生物学者は絵と図が上手くなければ大成しなかった。岩井はその時代の生物学者だった。
それから半世紀、遺伝子解析、昼夜の観察などによって、魚類の生理学的、生態学的研究はめざましい進歩を遂げており、その発展の過程にあることから、岩井の入門書は、基礎的な「形態」に重点を置くことになった。
岩井門下生の森野浩の追悼文「恩師 岩井保先生を偲んで」を目にした。「アユの初期発生」が学位論文の岩井保は専門著書だけでなく、一般向けの書を多く刊行した人だ。『旬の魚はなぜうまい』という岩波新書まで書いている。控え目な人柄であったが、1970年代の大学紛争時には、学部長、学生部長として矢面に立ったそうだ。弟子たちは専門の研究がおそろかになることを心配していた。そして、「先生の学問体系は「魚類学」というよりも「魚類生物学」と呼ぶべきかもしれません」とも指摘している。食糧視点の水産学ではなく、生物としての興味から発する生物学に近い分野を開拓した人なのだ。
専門を究めた学者が、やさしく教えてくれる入門書は貴重だ。『魚学入門』は初版は2005年であるが、2013年には第5刷になっているところをみると、この分野の後輩たちが必ず目を通す入門書になっていると推察される。2万種以上の多種多様の魚類の特徴の記述は簡単ではないが、高度の専門書への橋渡しという初志は十分に達成されているのではないか。
夜は品川で大学院の授業。本日のテーマは「日本文化を図解する」でした。
受講生がそれぞれ選んだテーマは、「神道」「相撲」「茶道」「生け花」「浮世絵」「落語」「マンガ」。
以下、各自の「学び」から。「図解の力、恐るべし」「イヤー、面白かった」「人の図解も説明できた」「最強の表現」「自分なりの読み込みができた」「日本とモンゴルは似ている」
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昼食は橘川さんと永山の「独楽寿司」。「熱海」「デツリ」「中老の男」「V役員会」「うぶごえ」「学会」「アニメ化」「インタビュー」「基礎と中級」、、、。
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「名言との対話」7月16日。小嶋 淳司「経営は人・物・金ではありません。人・人・人です」
小嶋 淳司(こじま あつし、1935年7月16日- )は、がんこフードサービスの創業者。
和歌山県生まれ。田辺高校、同志社大学経済学部卒。
寿司屋で修行した後、1963年に大阪・十三で4坪半の「がんこ寿司」を開店。店名の「がんこ」は、自身の学生時代からのあだ名である。企業理念の「がんこ宣言」は、3項目あり、それぞれ「がんこな商いに徹します」で締めくくっている。1969年に法人を設立し社長に就任し、外食産業チェーンに育て上げる。2005年に会長に就任。
1995年から大阪外食産業協会会長を務めた。2001年から日本フードサービス協会会長を務めた。2005年から関西経済同友会理事。平成17年春の褒章にて藍綬褒章を受章。2006年より2年間、関西経済同友会の代表幹事をつとめた。旭日中綬章を受賞。
「松下幸之助経営塾」の2012年3月の「がんこの起業と経営から」というタイトルの特別講話では、「経営のカンや運を呼び込む力は、経営者自身も現場に足を運ぶことから生まれてくる」「困難や問題に直面するほどありがたいことはない」「それを克服しようと懸命になることでチャンスが出てくるものだ」と述べている。
「日本の社長」という動画をみた。以下、小嶋淳司の姿勢がわかる言葉を拾う。
・中学時代の「すべて自分の責任。人のせいのしない」先生との出会いで目が覚めた。
・「がんこ」のサービスの基本は「安いものを旨く」ではなく「旨いものを安く」だ。
・日本古来の寿司、とんかつ、日本料理、うどん、そばに、新しい命を吹き込む。
・本当の日本料理を大衆に提供する。
・新しい日本料理のジャンルを作っている。
2021年に賞味期限の改ざんが明るみに出て、「組織に都合の悪い事柄を隠し、誤った判断を取る組織風土に変質していた」「創業者として責任を果たすべき時が来た」と会長を辞任した。無念であったろうが、潔い出処進退だ。
小嶋淳司は、新しいジャンルをつくるという高い志で起業し、経営にあたっている。そして「経営は人・物・金ではありません。人・人・人です」と語っている。物や金は後からついてくるものである。人が最大の経営資源だ。長年の仕事の中で得た教訓だろう。優れた人材、人物さえいれば、困難にも立ち向かえる。人を採り、人を育て、人を活かす。小嶋の座右の銘は「活人」というから、人を重視する経営方針は一貫している。それでもなお不祥事は起こる。創業という事業は本当に難事であることを痛感する。
九段で寺島さんと面談。その後、上野に出かけました。
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香川県高松市牟礼町のイサムノグチ庭園美術館を2013年8月に訪問したが、このときには予約をしておかなかったため、入れなかった。この美術館から運んだ石の彫刻と提灯をモチーフとした「あかり」を堪能しました。
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上野の旧東京音楽学校「奏楽堂」を覗きました。表に「永遠 栄一」と書かれた石碑があるので、渋沢栄一だろうとずっと気になっていた。明治23年に建った日本最古の洋式音楽ホール。東京芸大で多くの音楽家を生んだホール。日本における音楽教育の歴史がよくわかる展示。合唱曲、オペラ、童謡、、。
滝廉太郎。成田為三。本居長世。中山晋平。弘田龍太郎。山田耕作。三浦環。小松耕輔。田谷力三。伊澤修二。
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寺島実郎さんと面談。近況報告。
新しいステージ:母の死。八木さんの死。NPO知研の存続。
活性化:著書2冊贈呈。『50歳からの人生戦略は「図」で考える』(丸善(丸の内。ZOOM読書会)。『名言の暦』(名言シリーズ5冊目)。60代、70代のための次作の進行状況。
次の展開:図解塾(昨日の図解塾の「領土問題」の図を贈呈)。子ども図解塾、、。橘川さん、五條堀先生、、、。
終わって林遼太郎さんと挨拶:青森、沖縄などの県庁から研修に来ている宮原、大嶋、吉成さんを紹介される。
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「名言との対話」7月15日。秋谷栄之助「一番の基本は人とのめぐり会いだ」
秋谷 栄之助(あきや えいのすけ、1930年(昭和5年)7月15日 - )は、日本の宗教家。
東京生まれ。早稲田大学文学部卒。聖教新聞社に入社。編集局長、論説主幹、専務理事、代表理事、社主。1951年創価学会に入会し、青年部長、総務、副会長を経て、会長に就任。
1987年刊行の『人・心・出会い』(潮出版社)を読んだ。各界の著名人との対談集だ。
創価学会のたたき上げの人が何を語るのかを楽しみに読んだ。
城山三郎との対談:「仏教は一つの因果律を大前提にして成り立っています」「一つ一つの第一線組織を自分たちで考えるようにして、それを回転させることに力を入れました」「知恵は現場にしかない」「本当の組織は組織を感じさせないことが大事」「幹部の使命感を、しっかり植えつけていきことが、何よりも大事」「一対一で親身に」。
堤清二との対談:「声聞と縁覚というエゴイストから一歩出て人のために働く菩薩になる」「自分でやてみせる」「体験主義」「単純体験と教義の学習」。
浅利慶太との対談:「仏教には納得させるだけの哲学がある」「宗教は人間の生き方を考えたものであり、その一つの思想だ」「宗教は自分が花を咲かせるよりも底流をつくっていくのが本来の仕事」「権力に迎合していくようなあり方はありえない」「信仰とは良識」。
橋田壽賀子との対談:「大乗仏教は現実の生活そのものの中に生きがいを見出していく「仏とはいのちのこと」「戒律があるのは初歩的な宗教」。
堺屋太一との対談:「人間が価値を生み出していくところに生きがいや喜びがある。それが創価」「深い人間関係しかない」。
鶴見俊輔との対談:「聞く能力」。
赤川次郎との対談:「青春時代というものは昔も今も変わっていない」「人生における師弟関係というのは何よりも大切なもの」
この対談集で秋谷栄之助の言葉から、仏教の真髄を学ぼうと考えながら読んだ。智恵で悟ろうとする「声聞」と感覚で悟ろうとする「縁覚」の境地から、一歩境地をひらくと人のために何かをしたいという段階の「菩薩」になる。そこから、一切の衆生を幸せにしようとする「仏」にまで広がっていく。日常生活の中でこの過程をたどるのが修行なのだ。
秋谷栄之助は、戸田城聖との出会い、いやそれよりも強い「めぐり会い」によって、人生が一変している。地位を降りた後には、人間と人間の一対一の関係しか残らない。信仰を中心とする組織においてはこのことが一番の要諦だろう。偶然の出会いによって得た縁を育てながら、双方が関係を少しづつ深めていく。後になって、それが自分にとって必然の出会いである「めぐり会い」と呼ぶことになるのだ。
図解塾のテーマは「外交」の「領土問題」でした。日本が抱える領土問題は、中国との「尖閣問題」、ロシアとの「北方領土問題」、韓国との「竹島問題」の3つです。
下記は受講生の図への私の「赤入れ」です。
以下、受講生の感想。
名言との対話」7月14日。福田歓一「陳腐で常識的な最小限度のたたき台が役に立つかも知れない」
福田 歓一(ふくだ かんいち、1923年7月14日 - 2007年1月7日)は、日本の政治学者。専門は、西欧政治思想史。
神戸生まれ。学徒出陣で海軍士官となり、復員後東京大学法学部卒業。南原繁から西洋政治思想を学ぶ。東京大学法学部教授、東京大学法学部長、明治学院大学教授、明治学院大学学長を歴任した。1992年から日本学士院会員。
1976年から1978年まで日本政治学会理事長を務めた。近代社会における社会契約の重要性を指摘する一方、雑誌「世界」を中心にアジア諸国の同時代的な政治変動についての論考を書いた。民主主義を尊重し憲法を擁護する立場から、1990年には天皇即位の礼に伴う大嘗祭に反対する声明を出している。
佐々木毅・加藤節編『福田歓一著作集(全10巻)』(岩波書店、1998年)がある。1巻「ホッブスにおける近代政治理論の形成」。2巻「近代政治原理成立史序説」。3巻「政治学史」。4巻「政治・政治学・政治哲学」。5巻「近代の政治思想/近代民主主義とその展望」。6巻「ルソー/ルソーを巡って」。7巻「現代政治と民主主義の原理」。8巻「アジアの解放と民主主義の条件」。9巻「人間形成と高等教育」。10巻「邂逅――研究生活の途上で」。
今回、福田歓一『近代民主主語とその展望』(岩波新書)を読んだ。1977年刊行であり、米ソ冷戦中の世界を背景としている本だ。アマゾンの紹介では、「民主主義という言葉はかつての輝きを失なってしまった感が強い。しかしそれは、体制の違いを問わず最高の価値を付与されていることに変わりはない。本書は、近代民主主義の歴史を克明にたどりつつ、その理想と現実との対抗関係を明確にし、さらに現代政治を構成する原理としての民主主義を浮き彫りにして、新たな展望を拓く」と紹介されている。
自由民主主義、共産主義的民主主義、第三世界の民主主義も含めて、17世紀以降に誕生した近代民主主義という言葉を使うのは、古代民主政治に対しては統一性と共通性があるからだ。そこには個人の人格の尊重と人間の尊厳を確認しようとする要求が根底にある。自由民主主義と共産民主主義の協力によって第二次世界大戦に勝利し、近済民主主義は普遍化したとする。
国民国家はその枠を越えた新しい統合と内部の少数派の分離独立の動きによって引き裂かれている。これを解決するには、軍備の撤廃が避けて通れない課題となると指摘する。ここが「新たな展望」にあたるのであろうか。
この点に関しては、「あとがき」で、この本のタイトルにある「展望」という言葉について説明している。prospectというより、それを得るために近代民主主義を一つのperspectiveの中において見たという。前者は見通し、予想、見込みを意味するが、後者は視点、態度、見方を意味するから、私にはタイトルの「展望」は強すぎる感じがしていたのは、正しかったのだ。
本書は個性的・独創的な論考ではなく、「陳腐で常識的な最低限度のたたたき台」と自嘲しているが、本人もいうように「近代民主主義」の共通の教科書としては意味があるだろう。