東京MXテレビの寺島実郎の「世界を知る力」対談篇ーー相手は、アメリカの渡部恒雄と中国の柯隆。

寺島実郎の「世界を知る力」対談篇(東京MXテレビ)12月26日。

相手は、アメリカの渡部恒雄と中国の柯隆。テーマは「日米中知来アングル」。

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寺島:前回7月からの変化は? 中国。

柯隆「中国経済は急減速。第四四半期は4.9%成長(18.3%、7.9%)になり雇用が難しい。豪州からの石炭輸入停止で自分の首を絞めて大停電など、政策立案が混乱し、社会が混乱」「バブル崩壊か。不動産。経済は逆風」

渡辺「豪州の石炭輸入停止で代わりにアメリカから天然ガスを買っている。歩み寄る面も」

寺島:米中は選別的対立か? なぜ土地が公有の中国に不動産バブルがあるのか?

柯隆「中国は6%成長か。2022年はもっと厳しい。富裕層のお金は海外に逃げている。▲2000億ドル」「1970年に日本が宅地借地権という知恵を教えた。地方政府はこの使用料を財源にした。地方は地上げを行いバブルになった。中国の家計貯蓄は30%で不動産を購入できた。バブルで年収の50倍以上になった」

寺島:「共同富裕」。アリババ、テンセントなどの富を分配か?

柯隆「高級幹部には所得調査ができないから固定資産税、相続税などの課税はできない。寄付をせよということになるが毎年はできない。富裕層は海外に逃げる。格差の縮小はできない」

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寺島:中国6中全会。習近平毛沢東化。下放体験。newsweek文化大革命2.0」。

柯隆「躍進を始めた40年前との違いは情報が入ってきていること。マインドコントロールが効かなくなっている。効果がないから共産党幹部は焦る。経済成長しないから分配もできない」

渡部「交渉相手は一人がいい面はある。リスクはある。外に抜けて強く出てくる」

寺島:アメリカ。8月のアフガン陥落。

渡部「バイデン政権は計算違い。1:アフガン撤退が早かった。2:国内経済:物価インフレ。景気刺激策でガソリン価格が上昇し備蓄放出(サマーズ長官の警告)。支持率は支持40%、不支持50%と逆転。裏切られたとして失速」

寺島:習近平とはコミュニケーションチャンネルを維持。プーチンからはウクライナ問題で恫喝されている。アフガンの例もあり、台湾も守らないのではないかという疑念がある。渡部「ウクライナ、台湾は同盟国ではない」

寺島:アメリカはイラク、アフガンでネイションビルディングに失敗。台湾海峡? バイデン・周会談で「一つの中国」の原則を確認した。レッドラインを越えなければいい。台湾は独立はしないだろう。

柯隆「ケンカはしたくないがレッドラインは越えない。混沌とした国際情勢になる」

渡部「アメリカは軍事力、経済力は弱くなった。緊張を高めたくない。アメリカも中国もあいまいなまま現状を安定化させるちからはあり。2022年は中間選挙もあり難し年になる」

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寺島:安倍元首相「台湾有事は日本有事」発言。米軍は沖縄にいるから日本は自動的に巻き込まれる。それを避ける知恵が必要だ。台湾も一枚岩ではない。与党、野党、軍にも中国より勢力もある。台湾に提供した軍事技術が中国に抜けていく可能性もある。尖閣については台湾は中国と同じ姿勢。

渡部「日中のラインが緊張緩和に生きる可能性がある。自動参戦にならないようにしておくべき。無力感と男気の中間を」

寺島:東アジアの安定について

柯隆「日米中のトップの能力が問われる。首脳同士が実際に会えていないのが困る。対面が重要だ。知恵が試される場面がくる。日本も単純に考えないように」

渡部「岸田外交への期待。安倍意向で軍事のハード面はパワーアップした。ソフトパワーを使って外交を。

寺島「平和強調外交を再設計すべきだ。日中韓、アセアン、ロシアを含めた新しい制度設計を。それが日本の課題の集約点」

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日誌。

・立川でカラダのケア。

・1万1000歩。

・デメケンのミーティング

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今日のヒント。

デジリウス・エラスムス「本来の自分であろうとすることが、最も幸せなことである」

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「名言との対話」12月27日。岡部冬彦「漫画というのは毎回毎回の一枚ずつが発明であり創造」

岡部 冬彦(おかべ ふゆひこ、1922年12月27日 - 2005年5月16日)は、東京出身の漫画家、科学ジャーナリスト

東京美術学校図案科を卒業。学徒出陣でフィリピンへ。内地勤務で敗戦を迎えた。1947年、サン・ニュース・フォトスに入社。1952年、『週刊朝日』の『オヤカマ氏』など週刊誌連載のサラリーマンまんがを描く。1956年から『アッチャン』(『週刊朝日』)や『週刊文春』連載の『ベビーギャング』などを描く。ブラックユーモアの作品で人気を得た。1961年第7回文藝春秋漫画賞を受賞。

皮肉のきいた文章も得意だった。杉浦幸雄と組んだ『図解・淑女の見本』(1969)は好評だった。旅行や乗り物に関するエッセーでも知られ、『岡部冬彦のヒコーキ万歳』などの著書がある。1989年紫綬褒章、1995年勲四等旭日小綬章を受章。 

岡部冬彦『男の学校』(産業労働調査所)を読んだ。

「男は人生の終りまでが、勉強の連続だ。勉強の努力をし続ける人生を男の学校」「酒は先輩にオゴられて飲むことに始まって、自分のポケットで飲むことで完結する」「妻と母親と職業婦人の三つを、一生やりとげるつもりで就職する女性はほとんどいない」。以上は、いかにも昭和の匂いがするが、この本は今から40年前の刊行だからしょうがないか。

「コッキョウの長いトンネル」というのは間違いだそうだ。日本国内には国境はない。言われてみれば確かにそうだ。クニザカイという言葉は今でもある。例えば、多摩境。例えば武蔵境などの駅名に残っている。「クニザカイの長いトンネル」と読もう。

「熟年」という言葉は、堺屋太一が言ったとある。45歳から65歳であり、岡部は「中年」と呼ぶと言い張っている。私はこの時代を「壮年」と呼んでいるのだが、岡部に寄れば、良き中年の持つ資質は、活力、思慮、豊かな経験であり、好奇心、ヤル気、思いやりを持とうと主張している。そのためには、情報の小銭、つまり小噺やジョークを用意しようと呼びかけている。

本職の漫画についてはどう考えていたのか。「漫画というのは毎回毎回の一枚ずつが発明であり創造であって、、、。」「漫画商売というものは、今までにないものを自分で創り出すということが根本」「漫画は自分の生活に密着したものの中から材料を探せば、それこそプロの描けないものが描ける」。、、、。

岡部冬彦は、漫画は発明と創造の世界であることを強調している。その源は好奇心と違いを発見する目だろう。その姿勢が、エッセイの名手にしたのだろう。「中年よ!(壮年よ!)、好奇心を持て!」というメッセージを受け取ろう。

 

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