相手は、中国の 柯隆(京財団主席研究員)とアメリカの渡辺恒雄(笹川平和財団上席研究員)。
柯隆
- 共産党100周年大会をどう見たか?「強気だった。弱さをみせると批判される。2021年1月のコロナでのロックダウン、5月解除で経済活動。これは7月の100周年大会を意識」
- 中国経済をどう見るか?「中国のみ2020年はプラス成長(2.3%)、2021年は8%成長。エンジンは公共投資だが、中身は変化。5Gnに1.5兆円、高い貯蓄率で個人消費が堅調、アメリカへの輸出のクラッシュはなかった(日用品)。問題は雇用だ。サプライチェーンの再編中でリストラ。2020年の党大会で習近平は政権継続したいため強硬。G7との関係に問題がある。日米ともに中国を警戒(約87%)。人心が離れる。好かれる存在にならねば。
渡辺:
- バイデンの6か月をどう見るか?「世界のNO2は常に経済・貿易の脅威。中間層のための対外政策は高く評価したい。中国には厳しい」
- バイデンの対外外交は?「国際協調路線に戻る。ネットワーク。人権、香港などをテーマとして欧州に接近。ロシアにはサイバー攻撃(ランサムウェア)には対抗。中国には厳しい。米中ともに内向きになっている。米中のデカップリング(切り離し)はできない」
寺島「米中貿易は5592億トンとプラス、日米は1833億トンとマイナス。米中は選択的対立だ。アメリカの分断は深刻。フォーリンアフェアーズ7月号の中国の台湾進攻は近いとの特集)
- 柯隆「台湾問題は歴史的使命」。香港をみて人心は離れている。大洪水時に華僑は寄付しなかった。強国復権には条件がある。経済力、軍事力よりも、文化力だ。好かれるか。自由が必須だ。それがなければ持続不可能。科学者はグーグルにアクセスできない。次のステージは好かれ、尊敬されることだ」
- 渡辺「日本は真珠湾攻撃、1989年頃の日米経済摩擦。米中ともに余裕がなくなってきた」
寺島「抑圧的寛容。嫉妬心、猜疑心、憎悪へ」
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日本が持つべき外交構想力。
- 渡辺「日本は存在感を出せるかも知れない。憲法9条だけではダメだ。独自の軍事力を持つとバランサーになれるかもしれない。でなけけば苦労する時期になる。アメリカとの関係を土台に、東南アジア、インドを巻き込む、その上で中国と向き合う」
寺島「日米中トライアングル。米中2極論。松本重治は日米関係は米中関係だと言った。太平洋戦争は中国をめぐる日米関係だった。戦後は中国が二つに割れたことが日本に幸いした。主体的に考えるところに来ている。台湾にはアメリカの基地はない、沖縄・日本が巻き込まれる。松本の遺言ー米中戦争を回避するのが日本の役割」
これからの日本が持つべきビジョン
寺島「日本の貿易はアメリカ14.7%、中国26%台。政治的には中国封じ込め、経済は中国依存で迷走中。単純なアメリカ周辺国では中国とは向き合えない。他の国がついてこない。米中は頭越し外交の可能性がある。日本はルール形成する側にまわるべきだ。アジア目線(中国・インド・アセアン)で代弁する目線が必要。人材の質とスケール感など日本の中身を変える必要がある。
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「名言との対話」7月25日。喜屋武真栄「核になろう、自ら爆発して職場に、組織に、地域に広がろう」
喜屋武 眞榮(きゃん しんえい、1912年7月25日 - 1997年7月16日)は、日本の政治家。
沖縄県出身。「沖縄革新共闘」の候補者として、革新統一運動の象徴的存在だった。参議院議員(5期)を務めた。また、琉球舞踊など、沖縄の伝統文化を普及・継承する活動も行った。
喜屋武真栄『政治を人間の問題として』(あゆみ出版)を読んだ。この人の歩みを羅列するよりも、言葉を並べる方が人物が見える気がする。
誰かがやるだろうということは、結局誰もやらないことである。
人生はリズムである(処世訓)
人間の阿修羅の姿を目撃。戦争は鬼畜の世界である。沖縄の地上物件は96%壊滅。
小指の痛さは全身の痛みさであることを感ずる同胞であってほしい。
空手の精神「先手なし、受けて立つ」
政治の要諦「ひもじい思いをした者には飯を与えよ、寒い思いをした者には着物を着せよ」
信は力なり。
沖縄の教育は、日本国民の教育でなければならない。
座右の銘「機を見るに敏であれ」
ほんとうの人間の平和は、自由の保障です。
好きな言葉「春風をもって人に接し、秋霜をもておのれを律す」
文武両道の太田道灌のような人物になりたかった。
少年よ夢を描け、夢は希望の温床である
核になろう、自ら爆発して職場に、組織に、地域に広がろう。
人間にとって、一番の苦痛は差別されるとういうことです。
権利なく、力もない者の生きる道は団結以外にない。団結は勝利につながり分裂は敗北につながる。
不用意に語る言葉に人間の真実がある。
信は信を生み、不信は不信を生む。
核を枕に毒ガスを吸っての復帰はいやだ。
本土の一億同胞は沖縄県民が24年間にわたって差別待遇を受け、人命、人権、財産など、すべての面で犠牲をこうむったことをよく考えてもらいたい。
得意冷然、失意泰然
屋良朝苗「沖縄とは? 喜屋武真栄を見よ」。中野好夫「一つの歴史をつくってこられた人だ」。
それぞれ、血を吐く思いで絞り出した言葉であり、それぞれに感銘を受ける名言だ。その中で、「核になろう、自ら爆発して職場に、組織に、地域に広がろう」を抜き出したい。本土復帰にあたって、「核を枕に毒ガスを吸っての復帰はいやだ」という演説をした喜屋武真栄は、沖縄の同胞に向かって、その「核」になって爆発しようと呼びかけたのだ。その悲痛さに感じ入った。