『落第坊主を愛した母』(遠藤周作)を読了。
落第坊主とは有名な作家・遠藤周作自身のことである。この本は監修の山根道公が没後10年記念出版として編んだものだ。
遠藤の母が劣等生であった周作を励ました慈母であったとの印象持っていたが、実は不幸な烈女だったことを知った。
以下、この本で、母が周作を励ました言葉。
・あなたは大器晩成よ。
・お母さんは周ちゃんは必ず天才があるとみとめているのですからしっかり勉強して下さい。
・周ちゃんは大きいことをする人間になる。
・兄は秀才だけど、周作は天才よ。
・今は他の人たちがお前のことを馬鹿にしているけれど、やがては自分の好きなことで、人生に立ち向かえるだろう。
・お前には一つだけいいところがある。それは文章を書いたり、話したりするのが上手だから、小説家になったらいい。
1967年、44歳のときに「母と私」という文章を書いている。いつか母のことを小説ん書きたいと述べていた遠藤は、『女の一生』を1980年に書いた。烈女であった遠藤の母は、父との離婚を経て、キリスト教に帰依する。宗教と音楽に生きた人だった。その影響を受けて遠藤は宗教と文学の道を歩んだのだ。
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「名言との対話」9月22日。遠山一「ダークダックス」
遠山一(とおやま はじめ 1930年5月26日ー2023年9月22日)
は歌手。ボーカルグループのダークダックスの一員。
東京都出身。湘南高校を経て、慶應義塾大学経済学部卒。東京芸大中退。パクさんの愛称で知られる高見澤宏、マンガさんと呼ばれた佐々木行、ゲタさんの喜早哲ら慶應のメンバーと「ダークダックス」を結成。バスを担当する右端のメガネの遠山はゾウさんと呼ばれた。
高見澤宏の弟は、JAL時代の数年先輩だったこともあり、ダークダックスの話は時々、聞いていた。
1957年、「夜霧の彼方へ」から始まるロシア民謡「ともしび」がヒットし人気がでて、歌謡界にコーラスブームが起こる。1958年からがNHK紅白歌合戦でのグループによる初出場を果たし、以後連続14回出場する。このグループは当時のソ連に5回にわたり長期の公演旅行を行った。
ダークダックスは、長い間私たちを楽しませてくれた。代表作は、「ともしび」「カチュー者」「トロイカ」「赤いサラファン」「すずらん」「エーデルワイス」「山男の歌」「銀色の道」「あんな娘がいいな」」などがある。タイトルをみているだけで、彼らの歌声が聞こえてくるようだ。
全員が慶應経済の出身で、世界財界との縁が深く、三菱電機など協賛企業には恵まれた。ゾウさんこと遠山は象印マホービンの「押すだけポットぞうさん」のイメージキャラクターに起用された。また、遠山は1984年のテレビドラマ「パパになりたかった犬」では、マスティフ犬・ヨサクの声を担当している。
1987年には日本でもっとも長期にわたりメンバーが固定されているコーラスグループとしてギネス世界記録に認定された。1993年には史上初のグループ全員で紫綬褒章を授与されている。
高見澤は2011年に77歳で没し、喜早と佐々木は2016年のそれぞれ85歳、84歳で亡くなった。ただ一人残された遠山は、2016年の解散後も音楽活動を重ねていたが、2023年に93歳で永眠した。この年、日本レコード大賞特別功労賞を受賞している。名言はやはり「ダークダックス」だろう。