佐藤優「沖縄評論」(光文社知恵の森文庫)を読了。
佐藤優の本は、それぞれが独特の名著である。
論旨は明快で揺るぎがなく、愛情を持って現実の解決に目の覚めるような具体策を示している。
琉球新報に毎週連載した「ウチナー評論」の2008年1月5日から、2010年3月6日までの評論を並べた本だ。
この2年間は、自民党から民主党政権へと政権が移行した混乱期だった。
2015年の時点で読み返してみると、その見通しの正確さに驚く。それは本質を見つめる目と母の故郷である沖縄久米島の目が複眼となって対象をみているからだろう。
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (9件) を見る
- 「琉球・沖縄史」を選択する学生を増やす仕組みを考えよ。
- 沖縄の大学に国家公務員対策の特別コースを作り官庁に入れて10年後に戻って沖縄に貢献させよ。
- 外交の文法体得のために外務省のカネで研修と実務を経験させて、沖縄に戻せばよい。
- 今沖縄に必要とされるのは、正義闘争の魂を持った政治闘争だ。
- 実情について、官僚の名前をあげて新聞に書くことだ。国会で問題になる可能性が出てくる。
辺野古移設問題へ対処する論理。
- 沖縄とアイヌを加えた拡大ナショナリズム。拡大大和民族。
- 沖縄人は境界線上の日本人であるので、常に自らのアイデンティティについて自問せざるをえない宿命を持つ。「日本人になる」という動的自己意識を持ち続ける。
- 沖縄の基地負担に対する感情は臨界点にあり、移設を強硬すると、沖縄の基地は住民の敵意に囲まれる。日米同盟の力が弱くなる。それはアメリカの国益に合致しない。
- オバマ大統領の世界戦略からすると、米中国交正常化の流れの中で現行の米軍再編計画は変更することになる。普天間飛行場の辺野古移設という発想は時代から取り残されている。
- アメリカ海兵隊のグアム移転は協定(条約)。辺野古移設は政治的合意に過ぎないから拘束力はない。
- 沖縄党。沖縄は降伏はしない。沖縄学。
- 自民党が崩壊してできた真空を民主党議員が埋めているだけだ。マニフェスとは絵に描いた餅だ。変化するが、変化の毛化kが良い方向に向かうか、悪い方向に向かうかは誰にもわからない。
- 世論という川の両岸の堤にリークを重ねて川の水位を上げた。検察は「鳩山堤」を攻め、切れなかったので「小沢堤」を攻めた。これが決壊すれば民主党が解体するというシナリオだ。鳩山・小沢連合軍対特捜の戦い。どちらが勝利するか予断を許さない。鳩山小沢が負ければ、国民に選ばれた政治家ではなく日本は官僚が国家を支配することになる。そうすると辺野古移設が強行される可能性がきわめて高くなる。軍事官僚が占めた場所に検察がつく。小沢グループが勝利すれば、国民にとってはほんの少しだけマシになるかもしれない。外務官僚、防衛官僚の包囲網から鳩山総理を救いだし、沖縄と日本のためになる決断を求めよう。
沖縄関係書籍。
- 大田昌秀・外間守善「沖縄健児隊」。
- 大田昌秀「醜い日本人---日本の沖縄意識」
- 仲原善中
- 渡辺豪「アメとムチの構図 普天間移設の内幕」(沖縄タイムス社)
- 大城立裕全集」(勉誠出版)
- 大城立裕「内なる沖縄 その心と文化」(読売新聞社)(岩波現代文庫)
- 総合雑誌「世界」。
- 「汚名 第26代沖縄県千路 泉守紀」
- 佐藤優「沖縄・久米島から日本国を読み解く」(小学館)
- 池上永一「テンペスト」(角川書店)
その他。
- 大杉栄「一犯罪、一語学」
- 地球は球体であり、どの地点でも中心だ。
- 外務省には沖縄大使がいる。
- 四谷に55か国語を教える学校がある。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
名言の暦 4月29日。
命日
- 板倉勝重:国を治めるには重箱の味噌を、杓子で取る心持でなさりませ。
- 田辺元1962
- 桜田武1985
- 先人の踏を求めず、求めしものを求む。
- 自分が社長になったのは会社を取り仕切るためじゃない。4年なり6年の間、会社をお預かりして業績を上げ、次の社長にバトンタッチするためなんだ。
誕生日。