東京MXテレビ「世界を知る力」対談篇。世界の現状。日本経済の実体と株高の乖離。出口はあるか。アベノミクスの評価。ポスト・アベノミクスへの展望。

東京MXテレビ「世界を知る力」対談篇。「寺島実郎・真壁昭夫(法政大)・白井さゆり(慶応大)」

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  • 世界の現状をどう見るか?

真壁:7-9月は深刻。旅行・飲食・宿泊・交通がダウン。半導体不足で物流が低下。K字の下の方が急角度。供給が足を引っ張り回復が遅れる。

白井:アメリカは導体不足で自動車にも影響。もたついている状態。インフレ率が高くなっている(米5%)。エネルギー高、中古車。世界は大インフレ。日本も上昇中。生産者物価は上昇だが、消費者物価は上がらない。

  • 日本経済の実体の低迷(▲4.1%)と株高(4割高「をどう見るか。

真壁:カネ余りー株式投資に向かう。マネーゲーム。危険な状態。ビットコインの乱高下も危険、ただならぬ危険。

白井:アメリカは高成長、給付金、金利柔軟で株が上昇。日本は日銀ETF買いは3月から減少。日銀介入による依存、最大株主が日銀であり株が下がると日銀自体が赤字に。年金基金GPIFの4分の1は日本株に投入、ある程度の判断はある。合わせて80兆円、これがなければ株価は2-3割ダウン。企業経営者は経営力よりも日銀や年金基金の動向に関心。

  • 日本経済に「出口」はあるか?

真壁:日本はMMT先進国? MMTは短期理論だ。国際ー日銀が買うー景気上昇。ゼロ金利で日本は塗炭の苦しみにある。

白井:アメリカは大インフレ、だが2023年利上げのスケジュール。政策手段の発動の余地あり。日銀は2%インフレまで継続という方針だが、ずっとマイナス。出口に出られない。

寺島:GDPの2-3倍の借金。3・11の復復興税は25年。コロナ禍も深刻。ワクチン1回40ドル(ファイザー)、モデル名は倍、打ち手にもかかる。兆円単位の支出。

寺島:2020年GDP600兆円目標は536兆円に終わった。世界 GDP費は6%までダウン。

白井:東京五輪よりも先にコロナで危機が到来。世界中で政府が財政支出。ESG,投資で成長が可能か?再生エネ、水素の方向はコストが高い。不平等でない持続的成長するしかない。そういう成長が可能か?

白井:ESG投資という手段。SDGS。分配に重点。

真壁:幸福感の増進という目標。日本はコンセンサスを得やすい。

寺島:経済学の新しいパラダイムをつくっていかなければならない。

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感想:「分配」と「幸福感」という方向。カネからココロへ。私の「幸福は自由の拡大にある」というフレームの時代になるはずだ。

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「名言との対話」。9月26日。長浜忠夫「長浜ロマンロボシリーズ」

長浜 忠夫(ながはま ただお、1932年9月26日 - 1980年11月4日)は、アニメ・人形劇の監督・演出家・脚本家・作詞家。 

鹿児島市出身。日大絵技術学部を卒業。宇野重吉に師事するなどして演劇を学び、人形劇団の演出部に所属していた際にNHKの人形劇『ひょっこりひょうたん島』で演出を担当。
巨人の星』で初めてアニメの演出を手掛ける。一時アニメから離れたが『勇者ライディーン』の後半で復帰。 『超電磁ロボコン・バトラーV』、『超電磁マシーンボルテスV』、『闘将ダイモス』の三作品は「長浜ロマンロボシリーズ」と呼ばれ一世を風靡した。
『未来ロボダルタニアス』の制作中に『ベルサイユのばら』の制作のため降板するが、33話まで脚本監修。

長浜が産み出した作品の重厚なドラマ性や、舞台演劇の理論を応用したケレン味溢れる演出形式はアニメ界に絶大な影響を与えている。 「ムービーの天皇」の異名がある。

長浜アニメ監督は手紙魔で、毎朝5時に起床して、ファンレターに長文の返事を書いていた。アニメの感想に加えて、悩みごとや相談ごとを交わしていたファンも多かった。ファンを大事にした人だ。

テレビ東京のアニメ作品の総監督として1976年から数年に制作した3部作は「長浜ロマンロボシリーズ」と呼ばれている。それは主人公たちが合体ロボットや変形ロボットに乗り、地球を侵略する異星人と戦うという筋立てのスーパーロボット系アニメだ。大河ドラマ的な演出が特徴で「ロマンロボ」と呼ばれた。ロボットアニメにみられる勧善懲悪パターンから脱し、異星人側の地球侵略の理由も描くなど、敵味方のキャラクターが織りなす愛憎・血縁・宿命など深みのある人間ドラマとなっている。それがロボットアニメを卒業していた年長の世代を引きつけたのだ。その結果アニメブームを牽引するヤングアダルト層のファンを開拓することになった。この長浜の「 ドラマ性を持った巨大ロボットアニメ 」流れは、冠が載った「長浜ロマンロボ」と呼ばれるようになった。

「ロマン」とは何か。夢、冒険、異国情緒、未知、神秘、遥かなどのイメージがある。深い物語性、劇的な要素の強さを長浜のファンたちは「ロマン」とつけたのだろう。このロマンという言葉を「浪漫」と書くことがある。これは夏目漱石が翻訳の場面で使った音訳の当て字である。『ホトトギス』に連載した1907年1月の『野分』に出てくる「浪漫派」が最初で。それ以降に文芸の分野で使われた。「大正浪漫」という言葉を今でも聞くことがあるが、それは古き良き昔の時代を懐かしむ心情を表している。「浪漫」という当て字を発明した漱石はさすがである。

アニメの監督という職業は、今では市民権を得ている。その代表は『 君の名は。』の新海誠ジブリ宮崎駿エヴァ庵野秀明ガンダム富野由悠季らであるが、長浜忠夫は、その先駆けがであった。将来を期待された矢先に、惜しくも48歳でという若さで没している。これは早すぎる死、夭折である。ある分野に開拓者の名前を冠することがある。その栄誉を長浜忠夫は得た。