手塚治虫の伝説の超大型作品「火の鳥」(角川文庫)全13巻を読み終わった。
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/03/14
- メディア: 文庫
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全編が独立の物語ではあるが、つながっており、一度通読したくらいでは、この「火の鳥」の全貌はつかめない。
主に日本を舞台として時間軸に沿って古代から「黎明編」「未来編」「ヤマト編」「宇宙編」というように描き起こす。一方で超未来から徐々に時間をさかのぼる。この二つの流れを交互に描くという構成で、最後は両者が現代においてぶつかり「現代編」となって完了するという構想だった、という。壮大な構想のライフワークだ。
60歳という若い死のため完成しなかったのは残念だが、現代を描く時間がなかったのはむしろ我々にとっては幸いだったかもしれない。そこは現代人への宿題ととらえたい。
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1巻「黎明編」
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1992/12
- メディア: 文庫
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世界が滅ぶ中永遠の命を得たマサトは一体?三十世紀の未来。地下都市メガロポリスから脱出をしたマサトは、火の鳥により永遠の命を得て地球と生物の再生をつかさどる……。
3巻「ヤマト・異形編」
クマソ王国タケルの妹カジカ。宿敵のヤマト国、王子オグナ。彼らに芽生える許されざる愛とその葛藤。奇妙な古墳跡から想いを拡げるはるか悠久の古代ロマン、タマト編。
乱世時代。残虐非道の父を憎み、その復讐のため八百比丘尼を殺す左近介。が、やがて怖ろしい因果応報が巡ってくる、、。「罪と償い」を描く異形編。
4巻「鳳凰編」
生れたその日に片腕を失った我王。その我王に片腕を斬られた茜丸。15年後、仏師として血のにじむ修業を積んだ二人に、宿命の対決の時が来た。都の帝から東大寺の鬼瓦の競作を命じられたのだ。やがて、鬼気迫る二人の作品が完成するが、、、、。愛を渇望し、自らに打ち克とうとする仏師の極限の苦闘を描く。
5巻「復活・羽衣編」
墜落死したが、科学の力で少年レオナは生き返る。が、頭脳は電子、心は人間というアンバランスに悩みは深い。重ねて、従順な労働力として大量生産したロボットの目覚めと反乱。科学の領域を踏み越えて、神聖な「生命」に工夫を加えてしまった人間の罪と罰を25-25世紀の宇宙界に描く会心の大作。
6巻「望郷編」
エデン17という小さな星に移住した一夫婦。夫は死に、一人の残された妻ロミは子孫を残すことに専心し、エデン17星を繫栄させる。歳を経てロミは、望郷の想いをつのらせ、一路地球へと向かう。が、苦難の旅の後、やっと辿り着いた地球は荒廃の星と化していた。かつて美しかった星の崩壊と蘇生を描く迫真の銀河ロマン。
7巻「乱世編(上)」
12世紀末。木こりの弁太と田舎娘のおぶうは、都で美しいクシを拾ったことで引き裂かれ、平安末期の抗争に巻き込まれる。おぶうは清盛の側女に、弁太は源氏集団に組み込まれていく。病に伏せる老いた清盛は、永遠の命が授かるという「火焔鳥」の生き血がどうしても欲しいのだが、、。
8巻「乱世編(下)」
清盛亡き後、木曽義仲、源頼朝、義経が台頭し、群雄割拠の時代に突入。壇ノ浦で平家一族と共に殉死するおぶう。義経の傭兵として無念の死を遂げる弁太。庶民の死を犠牲に野望を拡げる武将は、永遠の生命を授かるという「火焔鳥」の生き血が欲しい。不安と裏切り、謀略が渦巻き、血で血を洗う乱世絵巻の完結。
9巻「宇宙・生命編」
2577年、オリオン座に漂う宇宙船が破損。個人用ボートで脱出する乗組員の運命は。銀河系の彼方で展開する、美少女ナナをめぐる激しくせつない愛憎のドラマ。2155年、視聴率を上げようと焦るTVプロデューサーが考案した「クローンマンハント番組」は恐ろしい顛末に。メディアの横暴と腐敗を突く、生命編。
10巻「太陽編(上)」。
百済国王の一族である少年ハリマは、唐との戦いに敗れ、狼の顔を被せられて野に放たれる。が、奇怪なおばばに助けられ、命からがら倭国にたどり着く。一方、光一族によって地上の「光」と地下の「影」に分断された未来都市。「影」に押し込められた少年スグルは、「光」への戦いを挑もうとする。
11巻「太陽編(中)」
12巻「太陽編(下)」。
地上の「光」と地下の「影」が対立する未来都市と、7世紀壬申の乱の渦中。未来と古代が転換する少年スグルの「正義」への挑戦を通して描く終わりのない権力争い。「信じるもの」の違いのゆえに憎しみ合い、肉親を殺し、権力をわがものにしようとする者たちの闘いのドラマ。
13巻「ギリシャ・ローマ編」。
火の鳥の生き血を飲んで不死となった王子クラブと奴隷のダイヤの物語。古代エジプトの王権争い、トロヤ戦争、ローマ専制政治を背景にした、愛と冒険のスペクタクルロマン。