センター試験二日目

「名言の暦」1月17日。加藤藤九郎。

  • 「大家といわれる人たちは、年取るほど作品が若くなってくる。ゲーテ然り、トルストイ然り。」
    • 大正から昭和にかけて活躍した陶芸家・加藤唐九郎は、陶器世界のルネッサンスといわれる「桃山」を超えたといわれる陶芸の名人である。陶磁器と一般に呼んでいるが、土を焼いて固めたものを陶器といい、石を焼いて固めたものを磁器という。陶器はたたくと木琴のような音がし、磁器は金属製の音がするので見分けることができる。1月17日は加藤藤九郎の命日。
    • 唐九郎は「昭和の志野をつくる」と言っていたが、志野の緋色を再現したことが有名だ。名古屋市守山区の蒐集品を納める建物が記念館になっていて訪れたことがある。
    • 女優の大空真弓が、「あの、立派な手で、私のオッパイを、わしづかみにして、ひねった時の先生は、少年のようでした。私は、おもわず、「土では、ありません」と叫んでいました。」とその人柄を語っている。こういう逸話があるように、博覧強記、不羈奔放、妥協なき言辞、天衣無縫、豪傑、八方破れ、陶聖、哲人、天才、野人、ミケランジェロ、、、とこの人を形容する言葉を眺めていると、厄介だが、しかし大きな魅力ある人物像が浮かんでくる。また加藤唐九郎のエッセイを読むと、この人は知識人としても第一級の人物だったこともわかる。
    • 「古いものを継承し破壊する戦いがなければならぬ。芸術は一種の革命である」。「悩まない人間に進歩はない。迷ったり悩んだりする度に人間は大きくなっていく」。「素晴らしい音楽のように、陶芸も人間の感覚に訴え魂を奪うような魔力を持っていなければ芸術ではない」
    • 唐九郎は日記をつけていた。「この日記は、このまま昭和陶磁史なんじゃ。発表したらえらいことになる!」と言っていたそうだ。まだこの日記は出ていないようだが、私の生きている間に読むことができるだろうか。
    • ゲーテは80歳を超える長命だったが、死の直前には生涯をかけて書き続けた「ファウスト」の第二部を完成させている。また恋多き人でもあったゲーテは73歳の時には50歳以上も年下の少女に恋をしている。歳月を重ねて丸くなるということが良いように言われるが、しだいに重い、大きなテーマにエネルギーを注ぎ取り組んで作品が年年若くなっていく境地に達した人が大家となっていくのだろう。だんだん大きくなっていく、そういう人生を送りたいものだ。
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夜は、DVDで映画「ロッキー」を観た。