図解塾第3期「トレーニング編」がスタートーー「考えることの瞬発力が鍛えられそう」

図解塾第3期「トレーニング編」がスタート。

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  • 以下、塾生の感想から。
  • 本日もありがとうございました。久しぶりに図解塾が開かれ、なんだかほっとした気分でした。これからの抱負も示していただき、楽しみです。今日は短時間で図解にまとめるという演習をやりましたが、第1期からの成果か、さっと読んで大まかな図解の形が思い浮かぶようになりました。この1、2か月の間にも本の紹介を1回だけ図にまとめたことがありますが、日常の活動で図解にするといいな、と思うことが他にもあります。ただ、パワーポイントでまとめるとなるとかなりの時間がかかるので、なかなか取りかかる活性化エネルギーが出ないという現状がありました。スピードも一つの課題かな、と思います。あまり縛られて苦しくなってはいけないとは思いますが、あくまでも自主的にですが、できれば1~2か月に1回くらい「本の図解読み」に挑戦して自分のタイムラインに投稿できるようになりたいと思います。
  • 初参加でしたが、和やかな雰囲気に前から参加しているような錯覚を覚えました。温かく迎え入れていただきありがとうございます。久しぶりの図解に、脳が疲れました。継続が大事だと再認識です。図解のスタイルが様々で刺激になります。みんなの図を集めていいとこ取りをするとより良くなっていくというのも演習の中で体験できたら面白いなと思いました。第3期始動、来週もまた宜しくお願いします。
  • 久恒先生、皆様、本日もありがとうございました.。本日は「夏休みの作品」として沖縄基地問題をご紹介させて頂く時間を頂き誠にありがとうございました。今まで報道を通じて「わかったつもり」でいた時事問題も、歴史に沿って丹念に積み上げ一気に振り返る事により、結局どういう事だったのか俯瞰して見る事が出来大変有意義でした。何より時節柄どこへも行く事がありませんでしたが充実して過ごせたことが何よりでした。さて、久しぶりに塾内で課題に取り組みで実感しましたが、限られた時間で考えることを優先する為には、やはり手書きが一番ですね。今回試しに始めからPCで作図してみたところ文字起こしで精一杯!「まず手を動かす」⇒「脳が働く」という連鎖が非常に大事である事を改めて理解した次第です、今更ですよね。一方、今後「アルチザン」活動など外へ発信していくとの事。非常に興味があるので、是非「端くれ」に立ち、力を試していきたいと考えております、今後ともよろしくお願い致します。
  • 本日は皆様どうもありがとうございました。久しぶりの参加の上、所要で中座したため、課題までは取り組めませんでしたが、みなさんの図解を拝見し、ライブ図解は確実に実力がつくと感じました。課題からの気づきと「自分だったら」という視点の大切さもよくわかりました。次回からも楽しみです。先生ありがとうございました。
  • 本日はどうもありがとうございました。この図解塾の過去と現在と未来を、まとめてくださってありがとうございました。いろいろなテーマを図解してきたのだなと改めて思い出しました。本日の講義は、講義内での図解でしたが、時間が限られているだけにとても疲れました。消しゴムをたくさん使ったのも久しぶりです。みなさんの図も即興なのによく考えられていてよかったです。この短時間で図を仕上げるのは、考えることの瞬発力が鍛えられそうでよいですね。来週からもどうぞよろしくお願いいたします。
  • 第3期に参加させていただき、ありがとうございます。久しぶりに参加し、久恒先生や塾生のみなさんにお会いできてうれしかったです。さて、本日あった10分間での図解作成ですが、私は途中で手が止まってしまいました。「課題の文章を読み、キーワードを書き出し、キーワードを丸で囲んで」まではできましたが、矢印でつなぐ段になって疑問が湧いて迷ってしまったからです。これだけの情報(キーワード)でどうやって伝えたらいいの?どこまでを全体として捉えたらまとまるんだろう?総務部以外の部署のことはどうしたらいいの?社外報の送り先ってこれだけ?メルマガにすることで別の経費はかかってないの?消耗品費も削減できてるはずでは?など様々でした。短い文章なので作成しやすいように思いましたが、残念ながら仕上げられませんでした。第3期は講座中に短時間の実習があるとのことなので、一つでも発表できるようチャレンジしたいと思います。よろしくお願いいたします。

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「名言との対話」9月8日。杉浦康平「一枚の紙、宇宙を呑む」

杉浦 康平(すぎうら こうへい、1932年9月8日 - )は、日本のグラフィックデザイナー、アジアの図像学研究者。

意識領域のイメージ化で多元的なデザイン宇宙を切り開き、レコードジャケット、ポスター、ブックデザイン、雑誌デザイン、展覧会カタログデザイン、ダイアグラム、切手などの第一線で先端的かつ独創的な活躍を展開する。

「マンダラ 出現と消滅」展や「アジアの宇宙観」展、「花宇宙・生命樹──アジアの染め・織り・飾り」展など、アジアの伝統文化を展覧会企画構成および斬新なカタログデザインで紹介する。

マンダラ、宇宙観を中核とする図像研究の成果を『かたち誕生』ほかの幾多の著作をとおして精力的に追究している。

2021年7月に公開された蔵野美術大学 美術館・図書館の「杉浦康平デザインアーカイブ」特設サイト「デザイン・コスモス」がユニークだ。 半世紀以上にわたっ杉浦康平が手掛けた数千点に及ぶデザイン作品を三次元的に再現したヴィジュアル作品集である。宇宙空間に浮遊する杉浦デザイン作品の世界を、探索し、動かし、選択し、驚き、遊び、学び、楽しむことができる。杉浦自ら厳選したブックデザイン作品186点を公開している。

ブックデザイン作品やポスター作品、思考や制作の過程を辿るデザインプロセス資料、杉浦のデザイン哲学やアジア図像学研究の源泉たる旧蔵書までの、「杉浦グラフィズム」を網羅。グラフィックデザイン史上における傑出した作品としての評価のみならず、戦後日本の印刷文化の発展を実証する貴重な原資料だ。

アーカイブを訪問すると、最初に目につくのは、過去にデザインした書籍が宇宙空間の中に浮かんでいる姿だ。それぞれに触れると大きくせり出してくる。不思議なデザインだ。単なるメンチン(表面を見せて並べる)ではなく、立体的で動的だ。私のホームページの改変時に参考にしたいと思った。

杉浦本人が語る、具体的なブックデザインの意図と技術という趣向も魅せるし、聞かせる。「黒と白」が拮抗する本作りが原点である。白地に黒文字、黒字に白文字というシャープなデザインだが、それに色を付けると和らぐ、柔らかになるのだ。著者や著作の内容にふさわしい画期的なデザインを志向していることがよくわかった。埴谷雄高作品集全15巻、黒田喜夫「彼岸と主体」、高橋和巳の表紙は立て看を模した、土門拳の「死ぬこと」「生きること」という自筆を使ったデザイン、秋山駿「無用の告発」「内なる理由」、松岡正剛「全宇宙誌」、瀬戸内晴美本多勝一「現代の冒険」、斎藤茂男「教育ってなんだ」の上巻「光の中の闇」下巻「闇の中の光」、「日本神話のコスモロジー、「毛沢東」、、、。

JAL時代に付き合いのあった長沢忠徳武蔵野美大学長の推薦の映像をみた。この人からは『インタンジブル・イラ』(サイマル出版会)という本をもらったことがある。武蔵美と杉浦との3年間の共同研究の結果がアーカイブになったとし、杉浦の仕事を「偉業」と評価していた。アーカイブは書籍5000点、雑誌2000点、レコードジャケット250点、ポスター900点。杉浦康平氏旧蔵「アジア図像学研究書コレクション」(3,500点)。杉浦康平氏旧蔵「現代音楽レコードコレクション」(1,500点)。

誰だったか忘れたが、神田の古本屋で本を探していると、主人から「それはスギウラさんが持って行きました」という言葉を何度も聞きたと悔しがるエッセイを読んだことがある。その蒐集癖がアーカイブになったのだ。

私は1983年に刊行の『私の書斎活用術』(講談社オレンジバックス)という本をつくったことがある。2年間かけて16人の知的生産者の書斎を訪ねて仕上げた本である。「知研」という勉強会に入会して最初のプロジェクトであり、私の実質的な処女作品だ。登場人物は、紀田順一郎、加藤英俊、下重暁子和泉育子長谷川慶太郎植田康夫高根正昭、藤本ますみ、松本道弘加藤栄一小中陽太郎、池中万吏江、河原淳水木しげる浜野安宏小室直樹。16人の知的生産の現場を訪ねた、最初のプロジェクトは今までで一番面白いプロジェクトだった。

推薦文はNHK鈴木健二、そして椅子やペン、鉛筆などが浮遊するシャープなブックデザインは杉浦康平だった。当時は杉浦康平というデザイナーの名前も知らなかったが、大変な人にお世話になっていたのだと思う。

「なんらかの意志をもつ者がこの白紙に手を触れ、文字を記し、線を引き、色を塗りはじめると、一枚の紙は情報を載せた物体となり、あるいは人の心を映しだす鏡へと変容して、時・空間の中で自立しはじめる」と杉浦は言う。

夜中に一枚のA4サイズのコピー用紙に図を描いていると、世界を我がものにしているという感覚を持つことがある。「ただの紙」から「ただならぬ」紙へと跳躍する。それを杉浦康平は「一枚の紙、宇宙を呑む」と語っているのだ。世界、地球ではなく、宇宙を呑むのか。さすがである。

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