「すみだ北斎美術館を支えるコレクター」展ーーピーター・モースは北斎の「カタログ・レゾネ」に挑んだ

すみだ北斎美術館。「すみだ北斎美術館を支えるコレクター」というテーマで、2人の個人コレクターが紹介されていました。

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ピーター・モース(1935-1993)は北斎作品の研究家で収集家。大森貝塚を発見したエドワード・モース(1838-1925)の弟のひ孫にあたる。北斎の「諸国瀧廻り」に関する論文や、「百人一首うなばがゑとき」シリーズに関する著書がある研究者。

北斎の全作品の画像と情報を網羅した目録(カタログレゾネ)作成しようとした。「北斎は歴史上最も偉大な芸術家であるのに、いまだにカタログ化されていない版画家です」。

モースのコレクションは北斎の個人収集としては、世界最大とされている。保存状態が極めて良好。研究者の眼で精査され収集された希少価値の高い作品も多い。このコレクションには北斎の主な画号、春朗、宗理、北斎、戴斗、為一、卍で描かれた作品がすべて含まれている。つまり北斎の画歴の全体像を見渡すことができる貴重なコレクションである。

1993年に東武美術館の「江戸が生んだ世界の絵師ー大北斎展」に自身のコレクションから201点が出品されることになり、来日中にモースが57歳で急逝したあと、コレクションが散逸しないように遺族から600点に近い作品や資料が墨田区に寄贈された。北斎の作品目録を作成することなどが条件だった。

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以下、「北斎図録」のピーター・モースの文章から。

北斎のみを取り上げている300冊の書籍。半分は日本語。半分はフランス語、英語、ドイツ語、ロシア語、オランダ語スペイン語、イタリア語、ヘブライ語チェコ語ルーマニア語で書かれている。

500点以上の論文がある。展覧会は少なくとも65回。これほど注目を集める芸術家はいない。

日本語で書かれた最も重要な書籍は楢崎宗重『北斎論』だ、もっとも多くの著作を発表しているのは永田生慈で12冊の書籍を刊行している。

カタログレゾネは小さな百科事典にような体裁になるだろう。北斎は3000種以上の版画作品を残している。選集ではなく、全集によって版画作家としての北斎を評価できる、北斎の作品にはマンネリ化したものはひとつもない。

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衆院選の勢力図の速報。

自民261。立憲96。維新41。公明32。国民11。共産10。れいわ新選組3。社民1。

自民党は261で過半数(233)を超え、安定多数(244)も維持。

公明32となり、与党の自公で絶対安定多数261を超える293議席

立憲民主党は公示前の110を下回る96。共産は10。国民民主は11。

維新は41で公明党を上回り第3党。れいわ新選組は比例で3人が当選。

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「名言との対話」10月31日。桜井長一郎「上見たって何もないですよ、あたしが口でやってるんだから」

桜井 長一郎(さくらい ちょういちろう、1917年(大正6年)10月31日 - 1999年(平成11年)3月4日)は、日本の漫談家声帯模写芸人。享年81。

東京都出身。素人時代より物真似を得意としていた。軍隊を経て東宝演劇部の社員になる。1948年にNHK素人のど自慢演芸会の演芸部門で優勝し、1952年にプロとなる。

「声のスタイルブック」と自称する声帯模写と漫談で寄席、テレビ、ラジオで活躍。モダンな語り口の漫談を交えながら、政治家、映画スター、女優、落語家、楽器、動物まで、幅広いレパートリーの物真似を披露し人気を博した。

1990年より東京演芸協会会長に就任するが、1999年に会長在任のまま死去した。享年81。後任には牧伸二が就任した。

桜井長一郎の動画を何本かみてみた。歴代総理の声帯模写では、「咳払い」の三木武夫、「あー、ウー」の大平正芳、「だみ声」の田中角栄福田赳夫、、。俳優では、大河内伝次郎、坂東妻三郎、「おのおの方」の長谷川一夫三船敏郎渥美清森繁久弥石坂浩二芦田伸介宇野重吉田村正和、、。女優もあった。セリフの前に「ひっ」というクセのある山本富士子淡谷のり子である。そして金さん・銀さんも、、、。実に面白い。観客の様子をみるとみんな楽しそうに笑っている。いい仕事をしていると感心した。

声帯模写」という言い方は最近は聞かなくなった。この言葉は、大正末期に古川ロッパという喜劇俳優の造語である。戦前は歌舞伎俳優が中心だったが、戦後は政治家、芸能人など、人々がテレビ、ラジオで接することのできる人が多くなった。

声帯模写師とまで名乗った川上のぼるもいた。歌謡声帯模写という歌まねは今でも人気がある。人以外にも、動物の物まねをするのが得意なのは、江戸屋猫八で4代続く家業になっている。久しぶりにコロッケの物まねもみたくなった。そういった芸のパイオニアが桜井長一郎である。

舞台、映画の時代は、スターの数も少なく、声を聞いたらすぐに誰かわかったらしが、ラジオ、そしてテレビの時代になって、スターも拡散してやりにくいとも語っていた。いずれにしても、声色(こわいろ)の物まねタレントの第一号にして第一人者であった。

桜井長一郎が舞台で琴の音色を真似ながらでてくると、あまりにもそっくりだったことから客席にいたお婆さんは、隠したスピーカーから本物の琴の音を流していると思い込み、天井を覗き込んだ。その様子を見て、「上見てたってダメですよ、あたしが口でやってるんだから」と声をかけたのが大ウケとなった。それ以来、馴染みのフレーズとなって観客をわかせた。

私もこの動画をみたが、「チュワーン、チュワーン」といういきなりの琴の音色を聞いたと思ったら、桜井長一郎の口から出た音で驚いた。芸の力である。