前泊博盛「本当は憲法よりも大切な『日米地位協定入門』」(創元社)を読了。
本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 (戦後再発見」双書2)
- 作者: 前泊博盛,明田川融,石山永一郎,矢部宏治
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 単行本
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「戦後史の正体」(孫崎亨)に続く「戦後再発見双書」の第二弾。戦後のタブーへの挑戦の書。
民主党政権の誕生と消滅、普天間基地の辺野古移設問題、東日本大震災、福島原発事故、原発再稼働問題、検察の調書ねつ造事件、尖閣問題、オスプレイの強行配備、TPP参加問題、集団的自衛権、、、、。
こういったここ数年の動きでわかたってきたことは、沖縄は法的にも日米両国の属国であり、その中心は日米地位協定であることだ。
「戦後日本」という国家の根幹をなす最も重要な法的取り決めは、日米地位協定である。日本本土も沖縄と同様の枠組みの中に置かれている。
この本では、最初に問いを掲げ、その答えを示すという構造になっている。それに沿って内容を要約する。
- 日米地位協定って何ですか?
- 米軍地位協定。
- アメリカが占領期と同じように日本に軍隊を配備し続けるための取り決め。
- 日本における、米軍の強大な権益についてのとり決め。
- なぜ戦後70年たっても、米軍はまだ日本にいるのか?
- ポツダム宣言では「平和的な傾向を持つ責任ある政府が樹立されたときは、連合国の占領軍はただちに日本より撤退する」とあるが、サンフランシスコ平和条約では、日米間の協定があれば外国軍隊の駐屯ができるとなっている。それが行政協定(地位協定)。看板は変わったが実質的な軍事占領状態が継続した。
- 事実上の治外法権。軍用機事故の場合の植民地状況。米軍関係者は出入国審査を受けずに基地から自由に出入りができる。
- 地位協定は、いつ、どのようにして結ばれたのですか?
- サンフランシスコ平和条約締結の数時間後、吉田首相一人が調印。
- 行政協定にための安保条約、安保条約の為の平和条約。
- 旧安保条約の目的は、日本全土を米軍の潜在的基地にすること。
- 旧安保条約前文「日本国は、、、日本国内およびその周辺にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する」
- 旧安保条約第一条「、、配備する権利を、日本国は許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。」
- 日米行政協定第二条1項「安保条約第一条にかかげる目的遂行に必要な基地の使用を許すことに同意する。」
- 平和条約調印の二時間前、安保条約の全文が発表された。直前まで内容も日時の誰も知らない事実上の密約だった。
- 講和条約や安保条約に書き込めない属国的な条項は行政協定に押し込んだ。行政協定はアメリカは上院の承認を得ずに結べるもの。
- 何が問題化か?
- オスプレイはどこを飛ぶのですか?
- 未亡人製造機
- 21件138市町村を飛行する。
- ひどい騒音による人権侵害になず裁判所は飛行中止の判決を出さないのか?
- 普天間基地爆音訴訟判決「損害賠償は認めるが、米軍機の飛行差し止めは棄却する」
- 第三者行為論。米軍には日本の法律は及ばない。日本政府は飛行差し止めの権限を持っていない。
- 米兵の犯罪は罰っせらえないのですか?
- 日本側は裁判権を放棄するという密約が日米間で交わされている。
- 米軍が希望すれば、日本全国どこでも基地にできるというのは本当ですか?
- 日米行政協定と日米地位協定はどこがちがうのですか?
- 「結局、何も手放さなかった」
- 安保条約
- アメリカ:「領有権については中立」「島しょ部の防衛は日本が行う」。
- 安保条約改定後、事前協議は一度も行われたことはない。
- 安保条約は10年たった1970年以降は、1年づつ自動延長されているだけだ。(安保条約第10条)
- 孫崎亨「安保条約を一度終了させ、新しく結びなおす。同時に地位協定を全面的に改定する」
- 原発事故や再稼働問題、検察の調書ねつ造もんだいと関係があるのですか?
- 巨大な外国軍駐留と治外法権の付与の毛kkあ、日本の国内法の体系は完全に破壊された。
- 1959年の砂川裁判で第一審の伊達判決を、検察庁は跳躍上告し、最高裁判決をだした。アメリカ国務省からの指示と誘導があった。
- 外国軍隊は、憲法第二条2項の「戦力」には該当しない。
- 高度の政治性を有するものが違憲か否かの法的判断は、裁判所の処方審査権の範囲外にある。
- 安保条約はは、、違憲無効であることが一見極めて明白であるとは認められない。
- 憲法判断をしない。ということから、最上位であるべき憲法が停止となり、安保条約群は日本の国内法の上位に位置することとなった。
- 官僚は、日本国憲法という下位の法律よりも、上位の法律(条約)に従う。
- 2012年の改正原子力基本法にもこっそり「わが国の安全保障に資することを目的として」という言葉が入った。放射性物質は各法律(大気汚染防止法・土地汚染対策法・水質汚濁防止法、、)の適用除外となっている。そして環境基本法では、放射性物質による汚染については原子力基本法その他の法律で定めるとなっている。法的には汚染ではないから除染も賠償もする義務がない)。
- 現在の日本は法律も、省令や行政指導も憲法に違反できる状態になっている。
- 日米合同委員会って何ですか?
- 密約製造マシーン。
- TPPも同じ構造。21の分科会。安全保障分野から経済関係全体に拡大しようという試み。内容を知らないのに参加表明をしてrしまう。
- 米軍基地問題と原発問題の共通点は?
- 安全神話。受益と被害の分離。他人任せ。思考停止。なれ合い。隠ぺい体質。国民の無知と無関心。
- なぜ地位協定の問題は解決できないのですか?
戦後日本の悲願「対等な日米関係の構築」には、米国との単独安保体制の見直し、多国間安保体制の構築。自主独立の気概が求められている。
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「名言との対話」1月4日。根津嘉一郎。
- 「会社再生の秘訣は、どこに不正と不合理があるか、その病原を退治することが一番近道である」
- 1月4日に逝去した根津嘉一郎は郷里の先輩の若尾逸平から「金儲けは株に限る。株は運と気合だ」と言われ株の世界に入る。「乗り物」と「灯り」というキーワードをもらった嘉一郎は、東京電灯株を徐々に買い占め、ついに経営権を手に入れる。そして東武鉄道の再建を依頼され社長に就任し、渾身の力を尽くして無駄を省き、不正を正し、非生産的な費用を除去した。それが出来たところで、初めて外へ向かって拡張し、成功をおさめた。
- 根津嘉一郎は自らを「生涯、他人に使われたことがない」と話している。多くの実業家は丁稚からたたき上げ、功労を積み出世街道を登りつめたが、根津嘉一郎は生涯一匹狼を通し、人の下僚になり、使われた経験や人の恩顧を被った経験を持たなかった珍しい人物だ。会社再生の秘訣は、どこに不正と不合理があるかを見極め、その病原を退治することが一番近道であるとし、紙一枚、鉛筆一本の無駄も省く姿勢は一貫していた。存在する物はどんなものでも細心の注意を払う「天物尊重」が座右の銘だった。
- 相場などの投機で一時の利益を得ることを卒業し、手持ちの資源を最大限活用し手塩にかけて事業を成功させ、その果実を長く享受することが経営者の仕事であると考るようになったのである。