「人物記念館マニア」として「週刊女性」にコメントーー星野仙一、美空ひばり、坂本九、西村京太郎、松本清張。

本日発売の「週刊女性」の「有名人記念館が続々閉館のウラ側」という記事に、「643館を訪問した人物記念館マニアで、多摩大学名誉教授」として紹介され、コメントを述べています。

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以下、私のコメント。

  • 「その人の歴史を文字だけでなく、音や映像、思い出の品などで振り返ることができるので、伝記を1冊読むより学ぶことが多いです」
  • 星野仙一記念館に行った際、女性スタッフが細かく説明してくれたのでとても熱心だなと思っていたら仙一さんのお姉さんだっということがありました。また東京目黒美空ひばり記念館では居間に上げてもらい、お茶などを飲みながらいろいろお話を伺ったことも。神奈川県湯河原町の西村京太郎記念館は先生ご自宅が隣にあるので、ご本人が館内にフラッと顔を出してくれることも多いそうです」
  • 坂本九思い出記念館は出身地でもない北海道夕張郡栗山町の福祉施設の中にあります。坂本さんが生前、札幌テレビ放送の「ふれあい広場サンデー九」に出演していたとき、記念館のある栗山町のバンドが福祉関係のコンサートに出演。そこから交流が続き、事故で亡くなる2週間前にも番組収録でこの地を訪れるなど、地域の方と交流を深めていたことからつくられたという経緯があるんです」
  • 「一番は地域の方に愛されているどうかでしょう。、、、、一方で出身地などにあり、自治体などお理解を得て、町全体で盛り上げているところは存続しやすい印象です。福岡県にある「北九州市立松本清張記念館は、松本先生の担当編集だった方が館長をされていることもあり、床もオイカピカに磨かれているなど愛情をとても感じます」
  • 「新型コロナの影響もあり、どこの記念館も経営は厳しいのでは。クラウドファンディングで運営資金を集めるなど新しいサービスを活用したり、オンラインに移行するのも生き残っていくためには大事になってくるでしょう。記念館は地方創生にも活用できえますし、残すべき価値があるもの。今後も存続させていくためには、若い人たちのアイデアなどもどんどん取り入れていってほしいですね」

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「名言との対話」11月2日。滝本安克「お前ら、今年何をしたか、端から言うてみい」

滝本安克(1924年11月2日ー2015年7月30日)は、経営者。享年90。

1923年に見習工から独立した職人の中林安右衛門が開業した中林製本所は9月の関東大震災で注文が増えた。1951年に次男の滝本安克が株式会社中林製本社として再興。設立時の資本金50万円は当日昼の段階でも金策に駆け回り、夕方に融資が受けられることになってスタートが切れた。1970年に「ナカナヤシ」と社名を変更。1977年に大証二部、1981年に東証二部に上場。1983年、東証一部、大証一部。41年間にわたって社長をつとめた。

現在のナカバヤシは図書製本、法人向け手帳、データプリントサービス事業を中心に、アルバム、ファイル等の製造事業、事務機器やオフィス家具の製造事業も展開している。近年はバイオマス発電や農業などにも進出している。

1976年に入社し、創業家以外の初のトップとなったた辻村肇社長は2018年に滝本安克について次のように語っている。

「事業意欲が旺盛で、アイデアにあふれ、決断力に優れた人でした。まだ家内制手工業的な製本所が主流だった時代、年商と同じくらいの資金を投じ、米国製の機械を買った。全国の大学図書館からの製本・補修を一手に引き受けるのが狙いでしたが、これが当たった。いち早く機械化したことでコストパフォーマンスで優位に立ち、この分野で国内シェア7割を取ることにつながりました」。

ナカバヤシの手帳も隠れたロングセラーだ。1968年に発売した「フエルアルバム」は大ヒットした。わが家でも、従来の凝った作りのアルバムやから、便利なこのアルバムで写真を整理するようになった。ロングセラーだ。

「写真台紙のフィルムをはがすだけで簡単に貼れ、なおかつ台紙を増やせるフエルアルバムです。当時のアルバムは面倒なのり付けが必要だったり、写真が1冊のアルバムに収まりきらなかったりする難点がありましたが、これを一気に解消した画期的な商品でした」。

「次男がラジオのアンテナを伸ばしたり縮めたりしているのを見て、フエルアルバムのアイデアを思いついたそうです。ちょうど高度経済成長期で、カメラが普及し、レジャーが浸透する時期と重なって大ヒットした。台紙が増えるという機能をそのまま商品名にしたこともインパクトがありました」。

ナカバヤシはテレビの人気番組「新婚さんいらっしゃい!」のスポンサーでもあった。この番組では「品質を誇るフエルアルバムのナカバヤシ」「ふれあいコミュニケーション。ナカバヤシ」「ニューオフィスを創造するナカバヤシ」「思いを守る、明日へつなぐナカバヤシ」などがキャッチコピーだった。ナカバヤシ2014年からセレッソ大阪のスポンサーになっている。

「お前ら、今年何をしたか、端から言うてみい」は年度末の取締役会の席での滝本社長の発言だ。現状の満足するな。挑戦せよというメッセージだった。滝本安克は先見性があり、アイデアマンであり、決断力があった。画期的商品の開発とネーミングのの見事さもある。41年間、社長としての突っ走った人の発言は、効いただろう。