柳田邦男『人生の1冊の絵本』(岩波新書)ーー現在89歳の柳田は80歳を過ぎてからは過去の仕事をテーマ別に総括する作品群の執筆中だ。「絵本」は」その一つ。

柳田邦男『人生の1冊の絵本』(岩波新書。2020年2月刊行)

ノンフィクション作家・柳田邦男は、近年は「絵本は人生に3度(幼少期、子育て期、中高年期)」「大人の気づき、子どものこころの発達」をキャッチフレーズにして、この20年にわたり全国各地で絵本の普及活動に力を注いでいる。この分厚い新書は50冊ほどの絵本を解説しながら、絵本の魅力を綴った本だ。

人生の1冊の絵本 (岩波新書 新赤版 1828)

「あとがき」から

  • 「絵本は、子どもが読んで理解できるだけでなく、大人が自らの人生経験やこころにかかえている問題を重ねてじっくりと読むと、小説などとは違う独特の深い味わいがあることがわかってくる」
  • 「私は人間のいのちやこころを不条理に破壊する戦争、災害、事故、公害、病気、凶悪事件、貧困などについて、その根源にある問題を明らかにしたいという思いで、半世紀余りにわたり取材・調査・執筆の活動を続けてきたが、特に八十歳を過ぎてからは、それらの仕事をテーマ別に総括する作品群の執筆に取り組んでいる」

柳田邦男は、『文藝春秋』に「いざ100歳日記」を連載中だ。「90歳が2年半後に迫っているけれど、そんな目先のことでは視野が狭くなるから、大胆に100歳を目指して一日一日をしっかりと生き、その証(あかし)として、今年(2023年)の誕生日から日記を書き始めているんですーー2023年6月9日) とある。それから2年経っているから、89歳だ。

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今日の収穫

「この仕事がやりたい、という人がいないとプロジェクトは続かない」

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  • 図解塾:ソフトを使った作品の発表と改良点の指摘
  • 研究会:ソフト開発のミーティング。テーマは「企画」

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「名言との対話」 9月24日。坂野惇子「赤ちゃんや子どもにとっての愛情を真剣に考え、なくてはならない商品をつくりましょうよ!」

坂野惇子(ばんの あつこ、1918 年 4 月 11 日―2005 年 9 月 24 日)は、日本の実業家。アパレルメーカー「ファミリア」の創業者である。享年 87。

神戸で、レナウン創業者・佐々木八十八の三女として生まれる。戦後まもなく、幼なじみの尾上清氏(のちのレナウン理事長)から「自分の手で仕事をし、自分の力で生きていく一労働者になりなさい」と助言を受け、働くことを決意する。

1940 年に坂野通夫と結婚。長女を出産した際に欧米の育児法を学び、それを日本の家庭に広めたいと考え、ベビー・子ども服業界に大きな革命を起こしていく。

1950 年、33 歳で株式会社ファミリアを設立。「お母さんたちから愛されるような、子どもと母親に向く、家族的な意味を持った社名にしたい」として「ファミリア」と命名した。創業の精神は「赤ちゃん、子どもに対する愛情を真剣に考え、なくてはならない商品を提供する」ことだった。

翌 1951 年、34 歳で大阪・阪急百貨店にベビー・子ども服の直営店を開設。1956 年、39 歳で東京・数寄屋橋阪急に直営店をオープン。1960 年、42 歳のときには美智子妃殿下ご懐妊に際し、お支度を仰せつかった。1971 年、53 歳でキャラクターのスヌーピー商品の販売を開始。1977 年、59 歳で「子どものものなら何でもそろう」を掲げた「銀座ファミリア」を開店する。――「業者さんのような格好の良いディスプレイにする必要はありません。手作りで愛情を伝えることこそが大事なんです」が社員への口癖だった。

創業時の 4 人の女性のチームワークは抜群だった。彼女たちの言葉を拾ってみよう。

〈坂野惇子(経営担当)>
「販売にたずさわる者は一日一善はもちろんのこと、一日に幾十回となくお客様に気持ちよく喜んでいただけるサービス(善行)ができる、大変恵まれた職場にいるのです。私たちは買う方の身になって素直で優しい心で接し、商品に対しては興味をもって熱心に知ろうとすることが大切です。そして一日の勤めが終わった時、いつも胸を張って『ああ、今日も一日、幾人かのお客様に喜んでいただくことができた』という嬉しさを日々楽しむようにいたしましょう」

〈田村江つ子(図案担当)〉
「ファッションの仕事はそのうわべの模倣だけでは人の心をひきつけることはできない。正しい基本にもとづいた上で、いち早い新しい情報のキャッチ、柔軟で新鮮な感覚をもって、時と場所と機能と、特に子どもには年齢を意識の基礎にして製作に努力している」

〈田村光子(洋裁担当)〉
「この間 20 年余り、どうしてここまで続いたのか考えてみるに、お互いを絶対に信用し合っていたこと、自分の責任の仕事には全力を尽くすこと。他部門に対しては、その責任者が最適任であり、また最良の方法で全力を尽くしておられると信じる。それがここまで続いてきた大きな要素ではなかろうか」

〈村井ミヨ子(企画・プロデュース担当)〉
「誠意は人を動かす。よい商品を、お客様のご要望・立場に立って気持ちよく一緒になって考えること。その誠実さが販売の基本のあり方だと思います。どんな困難な苦情でも誠意をもって当たれば解決できないものはないとも聞いております。また、誠意は販売に限らず、社会に生き、仕事をしてゆく上で一番大切なことではないでしょうか」

最強のパートナーとなった夫・坂野通夫の「同じ仕事をするなら単なる手芸ではなく、女性の特長を活かし、せっかく覚えた新しい育児経験をもとに、赤ちゃんや子どものために品質が良くてかわいいものをつくって売ればいいじゃないか」「社員は人格を、商品には品格を、そして店には風格をつくる努力をせよ」という助言も心に響く。

坂野惇子のドラマティックな生涯は、2016 年のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』として描かれた。惇子がヒロインのモデルである。こういう創業物語もある。

時空旅人別冊 「べっぴんさん」坂野淳子の生涯 サンエイムック | HMV&BOOKS online - 9784779630798

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