今週読んだ4冊の本を紹介する。
世界は因果関係でできている、知識と実践の結合、愛と思いやりの
教え、社会の変革への主体的な関与、仏教の教えを科学的に説明
する努力を仏教界はすべきである、キリスト教と仏教の本質的な
違い、など違和感はなく、共感や納得できる部分が多かった。
この本では上田紀行による堕落した日本仏教界の現状批判と
問題意識が根底にあって、それを乗り越えていくための処方箋
を得ようとする努力が通底している。実践に向けての改革の
ための書であるとの印象を強くした。
「寡黙なる巨人」(多田富雄)
世界的な免疫学者による平成版「病状六尺」。
脳梗塞による半身不随と失語症との戦いの中で、
自らの再起ではなく、自らの中で生まれつつある巨人の再生を感じる著者。
以前にまさる活発な著作活動と介護制度改悪に抗議する社会運動を
行いながら生き続ける意欲と姿に感動する。
父が右半身不随と失語症に長い間悩まされたので、多田先生の記述によって
父の感覚や絶望やリハビリの効果、生きる意欲などを垣間見ているような
気になって読み進んだ。
「マンダラとは何か」(正木晃)
インド大乗仏教の最終ランナーであった密教が開発した真理を象徴した図像が
マンダラである。心と宇宙の構造図である。仏心を幾何学的パターンに配置することで、
仏教の世界観をあらわしたものである。
個人の悟りを重視する小乗に対し社会変革と救済を重視するのが大乗で、初心者向けの教えである顕教に対し特別に選ばれた者にしか明らかにされない教えがある密教である。つまり大乗密教は究極の教えである。日本では中期密教を輸入した空海によるマンダラを目にするが、チベットでは後期密教を土台にしており多彩なマンダラが見られるという。
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「できる上司の聞く技術」(和泉育子)
「聞く」ことのプロである筆者が、職場のコミュニケーションの欠如を
「聞く」という行為を通じて解決する具体的な技術を豊富な実例を
あげながらやさしく解説。部下を指導しなければならない上司の立場
からのアドバイスが役に立つ。聞く技術はいい上司になるための必須科目である。