「神田古本まつり」初日−−出版産業はずっと不調産業?

k-hisatune2009-10-00

大学で仕事を済ました後、学長室の高野課長と打ち合わせをしながら九段へ。

午後、九段サテライトで会議。以下、参加者。

学長、経営情報学部長(多摩)、グローバルスタディーズ学部長(湘南)、経営企画室長、学長室長、多摩FD委員長、多摩事務長、湘南事務長、統括監、多摩アドミッション委員長、湘南国際交流センター課長、多摩教務委員長、多摩学生支援センター長、多摩事務局長参事、多摩キャリア支援グループ係長、湘南キャリア支援グループ課長。

学長提起による大きな会議だったが、実質的な、意味のある会議となった。こういう形の会議を頻繁に開くことになった。内容は今週末の戦略会議で報告する予定。

終了後、夕方19時からの会合まで時間が空いた。もともとは新しい山種美術館で「速水御舟日本画への挑戦」を観ようと思っていたが、考えを変えて、神保町へ。

神田古本まつり」をやっていた。今年で50回というから伝統がある。神保町の古書店街で始まり、神保町交差点付近の靖国通りの歩道にかけて、300メートルにわたって提灯と書棚が並ぶ風景はいい雰囲気だ。古本を漁る人たちも熱心に見ていく。このまつりに出ている古本は、図鑑、辞書、美術本、文庫、新書、単行本など百万冊である。

ほぼ全部見てまわったが、あらゆる本があるという印象である。興味のある本が多すぎて、なかなか手を出せない。持って帰れる本を数冊買った。

「神保町が好きだ!」という小冊子をもらったので読んでみた。「神保町から出版再生を」という対談特集があり、小学館の相賀昌宏社長と岩波書店の山口昭男社長が面白い対談をしていた。相賀さんとはあるグループの仲間で、山口さんはある会合で紹介されたことがあるから、雰囲気を知っているので楽しく読んだ。

「ことさら今が不調だとは思っていません」(相賀)という笑いから始まり、山口社長も「70年代の半ばからずっと不調」と返す。

  • 既刊本の売り方がうまい出版社はうまくいっています。
  • 小学館の雑誌は70誌。そのうち黒字なのはごくわずかです。
  • 何となくですが、多くの人が本に戻っているような気配も感じます。
  • 日本の図書館は3000館。貸し出しはDVDなども含めて、6億5千万点。
  • 日本の出版物の販売部数は7億5千万冊。
  • 編集者は、著者との付き合いから始まり、あるいとあらゆることを雑誌で勉強するのです。
  • 古典を現代にあわせてもう一度普及させていくという運動はぜひやりたい。
  • 神保町シアターという映画館をつくったら、連日満席。
  • 神保町には高齢者向けのいろいろな施設を考えなきゃいけない。
  • 街全体で出版社、大学、書店、古書店が連携しないと、、。
  • 児童書は、ほかの国よりも編集的にすぐれているのは、図解と学習漫画の工夫ができることです。
  • 中国にも500点ぐらい翻訳されているいおですが、図解での説明などはかなりの評判です。
  • 大学で朝読(朝の10分間読書運動9をやることも必要かもしれません。

19時から新宿で、NPO法人知的生産の技術研究会の仲間と食事をしながら、頼まれている研修の件で相談。

多摩大大学総合研究所発行の「マネジメントレビュー」(2009年第一号)が刊行された。
パイロット版として発行してきた当誌をリニュアルし、本格的な研究誌に育てあげていく第一歩になる。

今回の特集テーマは、「地域観光マネジメントの時代」。

  • 石森秀三(北海道大学観光学高等研究センター長)「次世代ツーリズムが地域の未来を拓く」
  • 中庭光彦(多摩大学総合研究所准教授)「コモンズの観光利用における課題−−福岡県柳川市における川下りの事例」
  • 川地尚武(三重県政策部「美し国おこし・三重」推進室)「住民による地域づくりを活発化させる「場の共有」と「機会提供」の仕組みづくり」
  • 原 祐行(株式会社サンリオエンターテイメント営業企画促進課)「多摩大学サンリオピューロランド 産学協働ゼミ9ヶ月をふりかえって」
  • 酒井麻衣子(多摩大学経営情報学部准教授)「多摩センター地区の活性化に向けて−マーケティングからのアプローチ」

「研究・教育・調査プロジェクイト紹介」

 今年度に「地域プロジェクト」に関わった学生は170名程度。学部学生の1割強となった。
  「調査研究型」で、私のホームゼミの八王子場長池公園PJ、寺島学長のインターゼミ「社会工学研究会」が紹介
  「イベント運営型」で、私のホームゼミの東京ヴェルディPJが紹介
  「事業運営型」で、私のホームゼミの多摩の手土産づくり支援PJが紹介  

  • 若年者等就労意識調査:多摩市
  • シニアの地域活動支援のためのケースメソッド開発:財団法人長寿社会開発センター

「研究紹介」

  • 松本裕一(多摩大学総合研究所准教授)「企業経営と地域経営の関係性研究の方向性−千葉トヨタの事例から−」

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所長挨拶

久恒啓一多摩大学総合研究所所長・多摩大学学長室長)

2009年4月に前任の北矢行男所長の後任として多摩大学総合研究所所長に就任いたしました久恒啓一です。
平成元年に開学した多摩大学は今年20周年を迎えましたが、多摩大総研も大学開学と同時に設立され、爾来大学シンクタンクとして活動を積み重ねてまいりました。ここ数年は、多摩地域をフィールドとした地道な活動と研究を重ねております。
多摩大学は創立20周年を機に、「現代の志塾」という理念を掲げました。
個人の責任ではないことが理由で差別を受けるというような社会の不条理をただすことに、自らの能力と技術を最大限に発揮した職業(仕事)を通じて何らかの貢献をすること、それを「志」と定義してみたいと思います。
そういった志のある人材を少人数教育で豊かなコミュニケーションを通じて育てる意志を「塾」という言葉に込めています。
「志」の失われた時代に、江戸時代の松下村塾吉田松陰)、適塾緒方洪庵)、感宜苑(広瀬淡窓)などの私塾の現代版を目指し、志の高い有為の人材を育ててまいります。
経営情報学部は多摩地域をフィールドとして学生を育てるという大きな方向を確認しており、この秋には全学的組織として「地域活性化センター」を設置するなど、大学としても今まで以上に地域に深く関わる決意です。
多摩大総研は地域との窓口として、大学と一体となった仕事をしていきたいと考えており、今年度から地域観光をテーマとした活動を中心に行っていく方針です。
こういった方向を踏まえ、「マネジメントレビュー3号」のテーマは「地域観光マネジメントの時代」といたしました。多摩大総研、多摩大学、そして学外の研究者が集ったこのレビューで、私たちの熱気を皆様に感じていただければ幸いです。
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