「コロナ生活の間に本を読もう! #7日間ブックカバーチャンレンジ」3日目。再生産指数を2以上にするオーバーシュート作戦を開始。

「コロナ生活の間に本を読もう! #7日間ブックカバーチャンレンジ」3日目。

 米寿を迎えた著者畢生のライフワークが成った。この労作は残すべき貴重な作品であり、長く読み続かれることを願う。

「7日間ブックカバーチャレンジ」は、「一人が一人にバトンタッチ」というのが趣旨だが、「コロナ生活の間に本を読もう!」と言い換えてみた。そうすると話題の「基礎再生産指数」が1では、増えない。1ではなく、2以上にしていくと、コロナウイルスの感染と同じく、オーバーシュートしていくはずだ。やってみよう。

以下、 内容紹介のブログ。

・八木哲郎『中国と日本に生きた高遠家の人々』ーー著者畢生のライフワークが長く読み継がれることを願う - 久恒啓一のブログ「今日も生涯の一日なり」

・知研東京のセミナーのゲスト講師は八木哲郎会長。テーマは「情報積み重ね方式による小説執筆技法」。 - 久恒啓一のブログ「今日も生涯の一日なり」

バトンは、猪俣範一さんと、力丸萌樹さんにタッチ。

ーーーーーーーーーーーーーーー

クラウドファンディング:481000円。目標まであと2万円。

・中津の同級生たちとクラウドファンディングの件で電話。愉快。

・次の著作の構想に着手。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「名言との対話」4月26日。堤康次郎家庭だけは複雑にするなよ」

堤 康次郎(つつみ やすじろう、1889年明治22年)3月7日 - 1964年昭和39年)4月26日)は、日本実業家もしくは財界人で、滋賀県選出の衆議院議員として政治家でもあった。

西武グループ(旧コクド及び旧セゾングループ)の創業者。第44代衆議院議長

滋賀県生。早大卒。軽井沢箱根土地開発を手がけ、武蔵野鉄道(現西武鉄道)と沿線開発成功西部百貨店国土計画などを擁する西部グループ育成した。

箱根観光開発めぐって東急資本との抗争は「箱根山合戦」と称され、社会的関心集めた。 五島慶太東急対西武戦争(箱根山戦争伊豆戦争)でライバルだった。康次郎は ピストル」の異名を持つやり手経済人だった。この間衆議院議員当選十三回、1953年かからは衆議院議長務めた。1964年に歿、75才。

生い立ち。祖父が心血を注いだ先祖伝来の土地、田畑を売り払い、その資金を手にして東京に出て、早稲田大学に進学し、大隈重信総長と親交を持つ。そして、海運業、ゴム製造業、真珠の養殖業、雑誌社と手あたりしだいに事業に入る。そしてすべて失敗している。28歳で軽井沢に買った土地から運がついてくる。ようやく掘り当てた金鉱脈だった。そして第一大戦が生み出した中産階級をターゲットとした事業を精力的に進めていく。不動産事業、鉄道事業、ホテル事業へと大展開していくのである。

・私は20歳代の時には、儲かりそうな仕事に見境なく飛びついた。そしてことごとく失敗した。30歳代に入ってようやく目は覚め、今度は人のやらぬこと、人のやれぬことのみをやった。それで成功したのである。

・それまでに経験した失敗は、人生観を見出すための月謝と思えば安いものだ

 2016年大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作品である児玉博『堤清二 罪と業 最後の告白』(文芸春秋)を読んだ。児玉博さんには橘川幸夫さんとの縁で2度ほど会っている。大分県の人で、2019年に『テヘランからきた男 西田厚聰東芝壊滅』(小学館)で、東芝の危機と転落を描いた辣腕の作家である。東芝の西田の場合も、堤清二と同じく、死が直前に迫ったときのインタビューをもとにした迫真のノンフィクションだ。

立志伝の人・堤康次郎の二人の息子である異母兄弟の堤清二堤義明の確執はマスコミを騒がせた。西武グループの本体は凡庸な弟の義明、切れ者の清二は破産状態の西武百貨店を引き継いだ。清二の流通のセゾングループは縦横無尽の活動で一時代を築く。義明の西武鉄道グループも発展していく。しかし、セゾンはバブル崩壊で、西武も不祥事の連発で最後はあっけなく瓦解してしまう。

清二は1991年にセゾングループ代表を降りて、文学者・辻井喬となった。63歳からの約20年で、小説17冊、詩集11冊、評論・随筆14冊を上梓している。詩集『群青 わが黙示』は高見順賞、小説『虹の岬』は谷崎潤一郎賞、『父の肖像』は野間文芸賞を受賞している。

会社の名前に「国土」とつけたように堤康次郎は 国家への奉仕意識が強いベンチャー起業家だった。だが、厳しい息子の堤清二の目からは単なる地主に成り下がったとみえた。康次郎はプリンスホテルグループをつくったが、清二は超高級の「ホテル西洋銀座」を1987年にオープンしている。最低10万円という最高級ホテルだった。私はJALの広報課長時代に、山地社長と当時利益日本一となった野村証券の田淵義久社長との対談をこのホテルで企画して利用したことがある。

さて、堤康次郎の事業を引き継ぎ、セゾン文化といわれるように一時代を画した清二、世界長者番付で総資産額世界一となった義明はともにそれぞれの事業から追われてしまう。康次郎の「家督を継ぐ者は堤家を永遠に繁栄させるべし」という遺訓は達成されなかった。その遠因は異母兄弟の確執にあったという見方もできるだろう。康次郎が清二に語ったという言葉「家庭だけは複雑にするなよ」は響く。

堤清二 罪と業 最後の「告白」

堤清二 罪と業 最後の「告白」

  • 作者:博, 児玉
  • 発売日: 2016/07/27
  • メディア: 単行本