東大の小宮山総長の本は、「ウェブ進化論」の梅田望夫さんが推薦していたので読んでみた。この二人はプレジデント1月号で対談していて読んだことがある。小宮山総長が、東大の教授にならないかと梅田に提案したら、「先生からそういわれたら、1000人のうち999人は、「ありがとうございます」って受けるわけですよね。でも僕は残りの一人になりたい。組織に属さないでこれだけ大きなことができるっていうのを、身をもって示したいんです」と断っていて痛快に感じた。
小宮山総長は、「東大生の学力は落ちたと思いますか」「お金持ちでないと入れないのでしょうか」「東大の時価総額は」「もっと給料をもらうべきだと思っていますか」など55の質問に対して率直に語っている。こういう本の編集は、本音が出るので面白いと思った。
小宮山総長が語る中で「知の構造化」「学術俯瞰講義」という言葉が頻繁に出てくる。構造化や俯瞰は「図解コミュニケーション」の中心概念である。あらゆる分野に蔓延する個別化、細分化、矮小化という流れを、構造や俯瞰という考え方で再構築できる。個々の優れた部品を全体像として体系化し一つのいのちとして動かそうということだと思う。トップになるとそういう思いを抱くはずだ。合意を得るためには、それをどういう形で見せるかが重要である。それには全体と部分、部分同士の関係をあらわす図解コミュニケーションの方法を用いるのがいいと思う。
この本の最後の部分は小宮山総長と梅田望夫の対談を収めたものだ。組織の変革を目指すトップと在野の個人との対話だが、新しい時代の流れからみる梅田の指摘は改革者・小宮山宏の意表を衝いているようで興味深い。
以下、本を読みながら印をつけたところ。