「寺島実郎の世界を知る力」ーー「経済」ワクチンギャップ。イノベーションとファンダメンタルズ。「人類史」:料理。言語と宗教とモラル。

東京MXテレビ「寺島実郎の世界を知る力」も12回目。157万のユーチューブ。

前回のアベノミクスの結末。厳しい指摘にショックを受けている経済人も。

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「ワクチンギャップ」。IMFの7月版の2021年の世界経済予測。2020年マイナス3.2%。2021年プラス6.0%。

米国(7.0%)・欧州(4.6%)・英国(7.0%)、中国(8%)と4月に比べ強気。2020年マイナス4.7%の日本(2.8%)とダウン、アセアン5も下方修正。、ワクチンが順調な国とそうでない国の格差。特に日本は不調。日本はこの11年間の経済成長率は0.04%で、ゼロ成長。

1964年:日本のGDPは4.6%。人口0.97億人。高齢化率6.2%。1994年:GDP17.9%(ピーク)、人口1.25億人、高齢化率14.1%。2020年:GDP6.0%(3分の1に圧縮)、1.26憶人、高齢化率28.8%。2025-2030年に4%台になるだろう。2050年、高齢化率4割に。

アベノミクスの失敗。2020年のGDPを600兆円と目標にしたが、実際は536兆円で2007年と同じ水準。2030年には663兆円という政府目標というが、それにはGDPを127兆円アップさせなければならないという計算。基幹産業の製造業はGDP全体の21%で113兆円。鉄鋼業1.2億トンから0.8億トンへ。三菱MRJジェット機の開発凍結、象徴がワクチン開発の遅れなどで不安。

6月に経済産業省が発表したレポートが意欲的だ。「経済産業政策の新機軸」。日本の向かうべき方向性を提示。ミッション志向。政府もリスクを負って起業家国家クラウドイン。ファイル・ファスト。ただ、課題在り。高度な政策実現能力、企画力があるか? 実行するためには省庁の連携が必要で総合政策能力、結束力が求められるができるか?

寺島実郎の考える「21世紀の日本の産業の針路」。

戦後日本:工業生産力モデルの優等生。分業論。経済思想は松下幸之助PHP(繁栄と幸福)。東芝の現在。本田、盛田、井深、、、。

イノベーションの推進:DX(デジタルチランスフォーメーション)。グリーン(環境、脱炭素。ルール形成)。経済思想はSDGs(持続可能な成長)。経産省の新機軸。

・ファンダメンタルズへの原点回帰:基幹産業として「食と農」(自給率38%から7割へ。米130%、欧州100%、英国7割。新技術・DX技術)、「医療・防災」(パンデミックであぶりだされた日本の弱点:マスク・防護服・人工呼吸器。災害列島(台風)、地震の多発)。経済思想は国民の「安全と安定」。

・・・39の「道の駅」を防災拠点にする(国交省)。ヘリで運べる可動性の高い高機能コンテナの開発。PCR検査機器、医療コンテナ、カプセルホテル。水まわり(トイレ、風呂)、備蓄コンテナ。IOTでつなぐ。平時と災害時に使える。

・・・データベース構築:防災技術の集約と相互活用。防災アプリなど。

・・日本総研会長として6月末に医療・防災産業創生協議会(政官学、医学、土木)を設立。シンクタンク、経済の現場も参加。超党派議員連盟斎藤健会長、林芳正上田清司古川元久、、、自民、立憲民主など)を設立。

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全体知で「人類史」をひも解く。人間とは何か?、社会とは? 自分とは?

先月は人類の誕生、ホモサイエンス、、。

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今月は1万年前から2500年前まで。定住革命から宗教の誕生前夜までを扱う。

・「美しい進化」(ダーウィンとの夕食):人間は料理する動物だ。人間は草食から肉食になり、アミノ酸過剰摂取でDNA進化。肝臓、腎臓に影響。

・定住革命による農業で、穀物を摂取、でんぷん過剰に向けてDNAが進化。

・BC5500年から4000年にメソポタミアに「シュメール文明」という人類最古の文明が19世紀になって発見された。1922年にウル発見。粘土板に刻まれた楔形文字。アルファベットの原型。世界最古の文字。「ギルガメッシュ叙事詩」(ライオンの子ども」を抱えている。ルーブル美術館。3分の2は神と3分の1は人間)。

人間とは何か? 「言語と宗教」を持っているという特徴がある。コミュニケーション。宗教の淵源。科学からすると「人間が神をつくった」。「神は脳がつくった」(トリー)。想像力。「神は妄想である」(ドーキンス)。7000年前に聖なるものを敬うとして「アニミズムフェティシズム」。太陽や山岳に霊魂(アニマ)、霊性があるとするアニミズム偶像崇拝フェティシズムは現代でもディズニーのキャラクターやアイドルにもある。「神ってる」、、。
エドワード・タイラー「原始文化」。アニミズム多神教ー「一神教」の進化という「宗教進化論」はキリスト教的世界観、中東一神教的世界観だ。

宗教の内なる側面。内面的価値としての「モラルの起源」(ボーム)は道徳性の芽生え、他者への寛大さ。言語と宗教。「道徳性の起源」(ドゥヴァール)。社会の必要性から生まれた。

定住により協調性が必要。コミュニケーションで納得していく、配慮していく。集団の黄金律としての宗教。結束のための信念のシステム。意識、コンシャスネス。

自分と人類史とのつながり:直接の血のつながちのあるのは10世代(250年前、江戸中期)まででみると親とのつながりで1024人、先祖2046人。20世代前(500年前。戦国時代)で105万人、先祖210万人。「私たちはエジプト国王の子孫であり、孔子の子孫である」(A/ラザフォード)。純粋日本人などいない。

来月は、世界宗教を取り上げる。

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新型コロナ:希望「病原体が特定されている」(必ずワクチンと薬ができる)「弱毒化していく」(致死率が低下)。

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「名言との対話」8月15日。出口裕弘「長いことフランスは、超難解な言語理論を世界に向けて発信してきた。そのあげく、こういう“人生”を満載したナマでしゃれた作品が書かれ、あらためて世界に発信される。それがたぶん、この国の底力というものなのだろう」

出口 裕弘(でぐち ゆうこう、1928年8月15日 - 2015年8月2日)は、日本の作家、フランス文学者。

旧制浦和高等学校で理科から文科甲類に転科。同学年の澁澤龍雄(後の龍彦)と知り合う。東京大学文学部仏文科卒業。

1962年9月、パリ大学文学部に私費留学した。1963年、フランス語専任講師として一橋大学に赴任。1970年から教授。1977年から1978年まで、ソルボンヌ大学に国費留学。フランス第2帝政期の詩と小説の研究、現代思想の紹介につとめる。1992年退官。

1997年には、旧制浦和高校時代の親友だった澁澤龍彦との膨大な書簡を基にした「澁澤龍彦の手紙」を発表。2007年「坂口安吾 百歳の異端児」で伊藤整文学賞蓮如賞を受賞。2015年、86歳で死去する。

著作に「ボードレール」、訳書にジョルジュ・バタイユ「内的経験」、小説に「京子変幻」「東京譚」など。

「生誕の災厄」という著書には、「精神科医の著作なら、患者の言葉しか私には興味がない。評論の場合は、引用部分だけだ」「どのような種類のものであれ、成功は例外なく内面の貧困化を招く。私たちにおのが正体を忘れさせ、人間に限界があるという痛苦に充ちた意識を、私たちから奪い去ってしまう」など、醒めた言葉が多い。

「ビールの最初の一口―とその他のささやかな楽しみ」(フィリップ・ドレルム翻訳:高橋 啓 出版社:早川書房)の書評では、「人生は自分の映画を撮っているから、車のフロントグラスがスクリーンになり、カーラジオがカメラになることだってある」という言葉を紹介し、「長いことフランスは、超難解な言語理論を世界に向けて発信してきた。そのあげく、こういう“人生”を満載したナマでしゃれた作品が書かれ、あらためて世界に発信される。それがたぶん、この国の底力というものなのだろう」と語っている。国力というものは実は文化力に多くを負っている。フランスという国の魅力と底力はそこにある。そのことを出口裕弘は教えてくれる。

高校時代以来の40年間以上にわたる澁澤龍彦との交遊は「澁澤龍彦の手紙」を生み、その渋澤に自宅で紹介された三島由紀夫への傾斜は、「三島由紀夫・昭和の迷宮」という本を生んでいる。この3人は魂でつながっている仲間だったのだ。