知研フォーラムは橋本大也さん。明日発刊の翻訳書『アナロジア AIの次に来るもの』の解説。

5月の知研フォーラムのゲスト講師は橋本大也デジタルハリウッド大学教授)さん。

テーマは、『アナロジア AIの次に来るもの』。明日発刊の『アナロジア AIの次に来るもの』(早川書房。ジョージ・ダイソン (著), 橋本 大也 (翻訳), 服部 桂 (監修))の内容を説明していただいた。30人を超える参加者という盛況だった。

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(2) 知研セミナー5月 ー『アナロジア AIの次に来るもの』徹底解説ー | Facebook

著者は二〇世紀の大物理学者フリーマン・ダイソンの息子、思想家エスター・ダイソンの弟で、科学史ジョージ・ダイソン。デジタル・コンピュータの時代が終わり、アナログ・コンピュータの時代が来るという予言の書。以下、翻訳者の紹介文から。

「ダイソンのアナログ・コンピュータの可能世界「アナロジア」の着想は、一八世紀にライプニッツが発明したデジタル・コンピュータの世界と平行線を走るはずだった。しかし、人間のネットワークと脳を模倣した人工知能が、デジタルを超越するアナログ・コンピューティングの様相を見せ始めた今、アナロジアは可能世界のひとつではなく、われわれがこれから迎えるポストAI時代のリアルな世界の設計図になる」。
  • 知の巨人・ジョージ・ダイソンの人生の集大成の本。半分近くは伝記。
  • 4つの時代:自然が支配。機械が支配。今「機械が自然を支配」。これから「自然へ帰るアナロジア」。アナログーーデジタルーーアナログへ回帰。
  • デジタルモデルが、現実そのものになる。ソーシャルグラフは人間関係そのものだ。
  • 150年前の小説「エレホン」のように機械が意識を持つ、それが今か?
  • chatGPTは脳のアナログネットワークに近い。
  • 脳のネットワークとニューラルネットワークは近くなってきた。統合されるか。

壮大な人類の歴史を旅するジョージ・ダイソンの頭の中をのぞいた感じがする。すでに注文してあるこの本の最後の監修者の服部桂「アナログ王国序説」から読み始めよう。

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息子に生まれた孫に会いに行く。久恒という苗字がつく初めての孫。女の子。娘に似ている。仙台で息子と私たち夫婦で昼食。その後、仙台・東京の新幹線から乗り継いで、自宅到着は18時近くになった。

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「名言との対話」5月19日。グラッドストン「いつまでも若くありたいと思うなら、青年の心をもって心としなければならない」

ウィリアム・ユワート・グラッドストン英語: William Ewart Gladstone [ˈwɪljəm ˈjuːwɑːt ˈglæd.stən], FRS, FSS1809年12月29日 - 1898年5月19日)は、イギリス政治家

イートン校、オックスフォード大学を卒業。34歳で保守党の下院議員に当選、以後1895年85歳まで政治の第一線に立ち続けた。植民大臣、大蔵大臣として名声を博す。1859年に保守党を離れる。1959年には自由党に入党。蔵相としてイギリスの地涌貿易政策を完成させた。1868年に首相に就任(1874年まで)。多くの懸案を解決し自由貿易の黄金時代を築いた。保守党のディズレイリに破れる。1980年に第2次内閣を素初期(1885年まで)。第3次内閣崩壊の後、1892年に第4次内閣を組織(1894年まで)。1895年に引退。

イギリスはグラッドストーンの自由、節約、平和の古典的自由主義から、帝国主義時代へ入っていく。

グラッドストーンはナポレオン並みの睡眠時間の精力絶倫の人で、古典学にも長じ、ホメロスの研究家でもあった。

好敵手である保守党党首ディズレーリとともに、イギリス最盛期のヴィクトリア朝(1837年から1901年)の政党政治を代表する人物である。

グラッドストンと5歳年長のディズレーリはあらゆる面で対照的存在であり、終生のライバルであった。グラッドストンは倫理的、ディズレーリは現実的だった。

同時代のアンドレ・モロワは二人の対比を次のようにしている。「二人ともダンテの『神曲』を好んだが、ディズレーリは地獄篇を愛し、グラッドストンは天国篇を愛した。」「グラッドストンにとってディズレーリは、宗教と政治信念を持たない不信者だった。ディズレーリにとってグラッドストンは上辺だけ飾って辣腕を隠す偽信者だった」

新興ブルジョアジーが支持する自由党グラッドストンは選挙法改正アイルランド問題の解決に努力する平和主義だった。地主層や地方の貴族が支持するディズレイリはスエズ運河の買収インド帝国の樹立など帝国主義政策をとった。

この偉大な二人のライバル関係、自由党と保守党の二大政党の切磋琢磨が、イギリスの最盛期をつくり上げたのである。

グラッドストン「幾多の大きな失敗をくぐりぬけてはじめて人間は偉大になるのだ」「大きな過ちを多く犯さないうちは、どんな人間でも偉人や善人にはなれない」。ディズレレイリ「いかなる教育も、逆境から学べるものには、敵いません」。失敗、試練、逆境が人を偉大にするというの考えは両者とも同じであった。

グラッドストンの初組閣は58歳であり、第四次内閣の最後は85歳だった。晩年の写真をみると、鷹のような鋭い目でこちらを睨んでいる表情が印象的だ。本人の言うようにグランドストンは青年の心を持ち続けていたのだろうと、納得した。