寺島実郎の「世界を知る力」5月「トランプショックに日本はどう向き合うか」ーー「日本再生ー対米関係の再設計」「私の戦後80年談話」

寺島実郎の「世界を知る力」5月ーートランプショックに日本はどう向き合うか。

  • IMFの世界経済見通しーー「先進国は低下」「インド。アセアン5は堅調」「中国の空洞化」「実質世界貿易は下方修正」
  • トランプ政権の株価への影響ーー「乱高下しが8割は前水準に回復」「不安の象徴の現物資産の金は暴騰」
  • 日本の状況ー「アメリカは21世紀初頭の25%から15.5%」「中国は13.3%から22.8%」「ロシアへは中古車を売ってエネルギーを買っている。長い目で」
  • 日本再生ーー「1920年代に似てきた」「トランプ政権の骨格はドルや酢と株高」「テック複合体の政権運営」。対米関係の再設計「好機到来」「交渉の前に事実の検証を「安保ただの理論ー駐留経費の7割を負担」「貿易赤字ー米車は努力したか」「相互利益プロジェクトを提案ー造船・航空機。リニア」「グローバルアジェンダの先頭にーマルチ(非核・地球環境・デジタル課税」
  • 私の戦後80年談話ーー「河上肇重光葵正田篠枝の短歌」「愛国行進曲」「確かに戦争があった」「この10年ー日本をとり戻すといったアベノミクス、そうはならなかった」「70年談話ー戦争の原因を外部要因とした」「80年談話では内部要因ーー下部は神道、上部は近代制度という矛盾」「日本の埋没とアメリカの理念の後退。強権化する中国・ロシア」「さて、日本はどうするかーー8月に向けて」

ーーーーーーーーー

東京富士美術館の写真展「岩合光昭の日本ねこ歩き」展をみてきた。

 「知の再武装」で広がるシニアの新しい世界 2025年3月18日に日本でレビュー済み
『アクティブ・シニア革命』は、これまでのシニア向け雑誌が扱う「健康」「お金」「生きがい」といったテーマとは一線を画し、「知の再武装」という新鮮な視点から編集された、とても刺激的な一冊でした。特に、「学び」や「社会貢献」「社会参加」に焦点を当て、退職後の時間を自分のやりたいことや、これまでできなかったことに充てて活躍するシニアたちの姿が多く紹介されています。その活動は実に多彩で、読んでいると、まるでモザイク画を眺めているような感覚になりました。人生100年時代。シニアには、他の世代とは異なる豊かな世界が広がっている——そんな希望を感じさせてくれる一冊でした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「名言との対話」5月18日。魁傑「力士は土俵あってこその命。休場は試合放棄と同じ」

魁傑 將晃(かいけつ まさてる、1948年2月16日 - 2014年5月18日)は、花籠部屋所属の元大相撲力士。享年66。

柔道の特待生として入学した日大を中途退学し相撲界に入り大関として活躍した。引退後は年寄・放駒として放駒部屋の師匠となり、日本相撲協会第11代理事長をつとめた。

高校柔道部時代は恒例の相撲のまわしをつけるイベントが嫌で参加しなかったり、相撲界からの誘いを渋っていたが、いやいやながら入門することになる。途中で脱走をしたが、連れ戻されている。大関陥落後に、再度精進して二度目の大関をつかむという珍しい経歴だ。

 

育てた関取は横綱大乃国以下11人。師匠としては「弟子には特別なことは要求しない。社会人として迷惑をかけない。それだけは頭に入れてほしい」という思いで指導した。2010年には大相撲野球賭博問題などの責任を取って辞任した武蔵川理事長の後を受け、第11代日本相撲協会理事長に就任し、その後に発覚した八百長事件の処理に奔走した。辞任後も用意された役職にも就くことはなかったクリーンな人だった。

冒頭の「社会人」発言には、「私はチョンマゲをつけているから魁傑ということで、皆から立てられています。しかし、私は土俵の外では30歳の、西森というただの青二才です。それを忘れてはならないと思います」との謙虚な思いがあった。

何ごとにも誠実で取り組む姿勢と自分にも厳しかった高潔な人柄で理事長として大相撲の危機を乗り切り、「存亡の危機に大相撲を救った希代の名理事長」と評価された。相撲界の恩人、もっと言えば相撲を愛する日本人の恩人である。

「力士である前に立派な社会人でありたい」としたこの人には名大関、名理事長と、この人の仕事には「名」という冠がついてまわる。1965年からテレビ放映された「怪傑黒頭巾」をもじって、色黒の魁傑は現役時代には「魁傑黒頭巾」とも呼ばれているのだが、この人の理事長時代の仕事ぶりをみると、「解決黒頭巾」でもあったとも感じる。

初土俵以来「力士は土俵あってこその命。休場は試合放棄と同じ」との考えを持ち、一度の休場もなかった。これは勝つ可能性があるなら全力を尽くすべきだという信念から出た言葉である。引退発表の席では「13年間、精一杯にやって来て、悔いは無い」と笑顔で語っている。

 青森武道館の「花田勝治展示コーナー」では、「土俵の鬼」と呼ばれた初代若乃花の「土俵のけがは土俵の砂でなおしてゆくんですよ。けがをするたびに休んでいたんでは勝負師にはなれませんね」という言葉をみたことがある。

現役の相撲取りでは、通算連続出場回数及び初土俵からの通算連続出場が歴代一位の玉鷲がいる。その玉鷲は幕内通算出場が2025年5月場所終了時点で1394回となる。1470回の記録を持つ旭天鵬を抜いて歴代一位になるだろう。期待したい。

現在の大相撲は、横綱昇進に挑んでいる大の里の存在、前頭上位から小結、関脇陣の充実など、何度目かの黄金時代の到来をまじかに控えている感じがする。こういう覚悟を持って相撲に取り組んだ、若乃花、魁傑、玉鷲などの力士の伝統を引き継いでもらいたいものだ。