九州

ここ数日、九州の実家で、弟と妹と過ごしています。昼と夜は対照的な時間。

ーーーーーーーーーーー

「名言との対話」6月13日。木村義一「アーティスティックビリヤード(曲球)」

木村義一(1931年6月13日ー2016年1月23日)は、日本のプロビリヤード選手。

京都府出身。長くサラリーマンをしながら、プールバーに通っていた。50歳となってビリヤードのプロとなる。得点ではなく技の美しさを競うアーティスティックビリヤード(曲球)の第一人者となった。

素人が見ても面白みが出せるようにと多くの技を開発する。その技は200種類にも上る。

有名なのは「だるまショット」とも呼ばれる木村ショットだ。コーラの瓶の蓋の部分に的球をのせその上にもう一つの的球を垂直に乗せる。手玉をショットし下に球に当て、だるま落としのように上の球を蓋の上に落とす技。

コイン飛ばしは、クッションの部分に100円玉をのせ、クッションに手玉をショットし、コインを飛ばしてグラスに入れる技。

木村は2006年に「ニューズウィーク日本版」で「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた。

2003年のお年玉隠し芸で堺正章がこの技を披露している映像を見た。このテレビ番組は木村が監修指導にあたったものだった。

ハーフムーン。バタフライ。パーフェクトショットプラスワン。スネークショット。ジャンプポケット。シャンデリア。スーパーマンマシンガン。ブーメランマッセ。

そして、だるま落とし。コイン飛ばし。ロングコイン飛ばし2メートル(ホールインワンに相当)、これは3度目に成功した。まさに神業だ。

スケートの世界のフィギュアスケート、スイミングの世界のアーティスティックスイミングのようにエンタメ性の強い面白い技に特化したのがアーティスティックビリヤードだ。

この世界については初めて知った。木村本人の技も素晴らしいが、木村が教え込んで完全にマスターした堺正章のエンターテイメント性の強い演技を堪能した。

木村はこの世界では、パイオニアであり、トリックショットマスターであり、第一人者であり、そしてビリヤードの神様と言われるようになり、この世界の殿堂入りを果たしている。

野球の神様、小説の神様など、どの世界でも「神様」と呼ばれる域に達した人はやはり尊敬に値する。分野は何でもいい、一人一人が神様になることを目指したらいいのではないだろうか。

木村義一の技には惚れ惚れとするが、この人が本格的なプロになるのは50歳であったことが注目に値する。青年期はアマチュアであり、壮年期からプロになり、実年期までトップを維持し、熟年期は楽しんだのである。