杜の都・仙台市の花は「はぎ」、木は「けやき」、鳥は「かっこう」、虫は「すずむし」(野草園を訪問)

午後、仙台市野草園を訪ねた。1950年に戦中戦後の混乱期に荒廃した緑を復活させようと計画され1954年に開園したこの野草園は、海抜117メートルの小山の頂にある。東北地方の代表的な野生種を高山、ドングリ山、海辺、薬草、アヤメ、ハギ等の区に植栽展示している。野草園は、身近に見られる草木と親しみながら植物についての知識を高め、自然を理解する場として、市民に愛されている。植物にはあまり興味のない私でも、野草の名前が書いてあるので、楽しく散策できた。


「朝かれひ 君にむかって みちのくの 山の苺(いちご)を食えば楽しも」という碑があり、よく見ると、「君とは阿部次郎のこと。斉藤茂吉が東北大での講義のため来仙。阿部次郎宅で一泊の朝の歌である」と解説がしてあった。そういえば阿部次郎記念館もこの休みの間に訪ねなきゃ。


この野草園は、大仏次郎賞を受賞した仙台在住の作家・佐伯一麦さんの「鉄塔家族」に登場する。佐伯さんの花、木、鳥、虫などに関する知識を背景にしたゆるやかな日常の細かい描写に魅力を感じていたので、一度行きたかった場所だ。確かにNHK、仙台放送東日本放送の鉄塔がそばに立っている。主人公の中年の夫婦が住んでいたと思われるマンションもいくつか存在していた。



茶房で、妻はほうじ茶、私はぜんざいを注文する。ぜんざいは子供の頃の懐かしい味がした。