「2022年秋、コロナ危機を超えて」ーー寺島文庫リレー塾第1回

「寺島文庫リレー塾」第13期「危機の時代のその先にあるものーー転換期を生きる視界」。初回は寺島塾長「2022年秋、コロナ危機を超えて」。以下、キーワードのみ。

  • ウクライナ危機:ロシアの弱体化。核超大国・資源大国・産業小国。
  • アジアダイナミズム:日本は頭はアメリカ・下半身は中国。現実を客観視せよ。
  • ネットワーク型世界観:「大中華圏」は陸の中国と海の中国の連携。「ユニオンジャックの矢」ロンドン・ドバイ(金融)・ベンガロール(DX)・シンガポール(大中華圏)・シドニー。(英連邦はソフトパワー:英語・英国法・文化)。
  • 多極化・全員参加型秩序へ:2極化ではない。グローバル・サウス:アフリカ(54ヶ国)。中南米(OAS。ブラジル。コロンビア)。中東(イスラエルのインテリジェンスと高度技術。イラン。トルコ)。アジア(核兵器禁止条約締結国会議。日本のチャンス!)。
  • 円売り・日本売りの瀬戸際:債務1255兆円。1%アップで12.5兆円(防衛費5.4兆円)。政治による日銀支配。経済人のぶざまさ。リーダー無き産業界。
  • 基盤産業を何にするか?
  • 第3の転換点:明治維新。敗戦。現在。
  • 12月『体験的ユダヤネットワーク』。1月『日本再生の構想』。

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八王子の音楽グループ「UP LIFT」をぐりーんうぉーくで聴く。

「音楽で人を幸せに」「当たり前でないありがとうを広げる」がテーマの3人のグループ。とてもいい。たまたまだが、2度目。ファンになろう。

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夜は「岡本太郎」の研究グループ「なんだこれは!」に参加。

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「名言との対話」10月9日。水原秋桜子「俳句は抒情詩である」「瀧落ちて群青世界とどろけり」

水原 秋桜(旧字表記:水原 秋櫻子、みずはら しゅうおうし、1892年明治25年)10月9日 - 1981年昭和56年)7月17日)は、日本俳人医師。享年88。

東京神田出身。一高、東京帝大医学部卒業後、昭和医学専門学校(現昭和大学)初代産婦人科教授。家業の病院を継ぐ。宮内省侍医寮御用係として皇族の出産を担当。

俳句に関心を抱き、高浜虚子の「ホトトギス」に投稿を始める。また短歌は窪田空穂に師事する。高浜虚子の指導を受けて東大俳句会を再興。句誌「馬酔木」主宰者となる。

後に虚子の客観写生論を自然模倣主義と批判し、主観写生論を展開し、新興俳句運動の流れをつくった。1955年から医業をやめ俳句に専念。1962年、俳人協会会長。1966年、日本芸術院会員。

雑誌『俳句』2021年7月号の特集「没後40年 水原秋櫻子の「現在」」を読んだ。

根岸善雄によれば秋桜子の生涯は7期にわけられる。

 第1期「渋柿」時代 鰡はねて河面暗し蚊喰鳥

 第2期「ホトトギス」時代

  啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々  うつし世に浄土の椿咲くすがた

 第3期「馬酔木」時代

  人騒ぎ摩利支天岳に雷おこる  慈悲心鳥ひびきて鳴けば霧きたる

 第4期「八王子時代」

  冬菊のまとふはおのがひかりのみ  瀧落ちて群青世界とどろけり

 第5期「西荻窪時代」:龍どう(?)や巌頭のぞく剣岳

 第6期「俳人協会会長時代」

  獅子独活や旅愁きびしき海の色  籠かばふ鬼灯市の宵の雨 

第7期「晩年」

 余生なほなすことあらむ冬苺 初筑波利根越えてより隠れなし 

 死処は我家とひとり思へり島総松 手のひらのわづかな日さへ菊日和

秋桜子は短歌の世界をのぞいたことで、「調べ」を身に着けた。そのためもあろうが、虚子の「客観写生」に不満を持つ。花鳥風月の描写だけでは詠んだときの心の躍動は消えているのではないか。短歌の師・窪田空穂「歌は調べなり」と教えてくれたのだ。調べの中に主観を遂げるのだ。万葉調のゆったりした調べである。

秋桜子は「俳句は抒情詩である」と考えて、「ホトトギス」のくびきを脱した。そして身近な自然以外にも、山容など大きな自然も題材として、明るい絵画的な句をつくった。叙景句である。景色に美を宿らせる、抒情的な詠み方である。

代表句は2つ。

「冬菊のまとふはおのがひかりのみ」。これは写生句ではない。「おのがひかり」とは、自分自身の心象風景である。風景ではなく、イメージである。

「瀧落ちて群青世界とどろけり」。瀧の水がとどろく。その群青の世界をしみじみと味わっている自分がいる。瀧と自分が一体となっている情景が目に浮かぶ名句だ。

私は俳句については「写生」を重んじる「ホトトギス」の流れを意識して来た。短歌では同じ主張の「アララギ」以外にも「七七」に情感をこめる派なども知っている。俳句にも抒情による革新運動があったのである。水原秋桜子のファンになった。