多摩大秋のリレー講座--寺島実郎学長「シェールガス革命」


寺島実郎監修リレー講座「現代世界解析講座 2011年秋学期」。総括テーマは、「21世紀初頭の10年を超えて」。
各界の碩学を講師として迎え、リレー講座として日本と世界が置かれた歴史的位相を多面的な視点から再検討し、その今日的課題を解析するプログラムを構築する。

本日の講師・寺島学長の講演はテーマ「2010年の夏の総括---世界は今どう動いているか」。

  • 「それでもなお、原子力技術の蓄積は重要だ」とメディアで発言している。
  • この夏は日本が内向きになる中、意識的に外に出てみた。欧州、米国、、、。
  • 欧州の金融不安はここ1-2か月が重要。ギリシャに端を発する欧州危機、この半月どう動くか、微妙。
  • 縮小するアメリカ。この10年で石油価格は3倍、ドルの価値は半減。米軍兵士6200人に死亡。1.3兆ドルの戦費、総額で3兆ドルに。イラク・アフガンに出た結果として、イランシーア派が強大になってしまった。110622にオバマは「国内の国造りに集中すべき時だ」と語っている。
  • 非加盟主体であったパレテスチナの国連加盟申請。アメリカは拒否権を使えるか。使うならばもはやリーダーではない。それはイスラエルとの心中の道。
  • 超円高。この3年でドルは3割下落、ユーロは4割下落。アメリカ人の悲鳴。もはやホテルオークラに泊まれなくなっている。
  • 日本は、避難通貨となっており実力(110円か)以上の円高で、微笑み鬱病ほめ殺し状態。
  • 現在の円高は、戦略的投資のチャンスでもある。メッセージ性の強い海外の大型買収などを仕掛ければ、これはまずいということで、円安に振れる。政府系ファンド。民間のM・Aを政府がサポートするなども。
  • 米国。8月20日の与野党合意での危機脱出、11月23日までに2.1兆ドルの赤字削減策をまとめるという合意。国防予算の削減による縮軍へ。
  • 米国は1859年のペンシルバニアでの油田発見に似た高揚感に包まれている。それは「シェールガス革命」。WTIの石油価格が下がっている。
  • 頁岩の中のに存在している天然ガスを取り出す技術が進み、在来型とは違う天然ガスが手に入るように革新が進んできた。米国では天然ガスにどんどん切り替わっている。アメリカの新しい物語。
  • 小型原子炉など原子力ルネッサンスは後退。グリーンニューディール(再生エネルギー)は萎みつつある(財政危機で政府助成が打ち切られている)。
  • ポーランドシェールガス埋蔵量が凄い。今までロシアの天然ガスに首根っこを押さえられていたが、欧州がロシアのくびきから脱するチャンス。
  • 北米、中米などもシェールガスの宝庫。
  • 日本はカタール天然ガスなどに触手を伸ばしているが、チャンスでもある。
  • 中国は世界最大のシェールガス埋蔵量。世界最大の産出国である米国とシェールガスの開発協定を結んでいる。新しいパラダイム
  • 頁岩の中にたまっているシェールガスの回収は、水圧破砕という技術。大量の水が必要。そして汚水が出るので環境問題もある。環境ルールは2012年までにつくる。
  • 米国にはFTAに入らないとシェールガスを売らないという流れもある。
  • それまではエネルギー源は鯨油だった。1859年の油田発見が1907年のT型フォードに発する自動車産業を支えた。石油を大量に使う産業を育て、それで20世紀がアメリカの世紀になった。油田発見以来の高揚感にある。
  • 来週月曜日からエネルギー調査会が始まる。

                                                  • -

リレー講座が始まる前に、学長と重要案件の相談と意見交換。本日の田村学園理事会の話。大分県出身(佐伯)の前グーグルの村上憲郎さんの話題も。

                                                • -


ホームゼミは実質的な初回なので、夏休みをどう過ごしたかというテーマで全員に話をしてもらった。バイト、インターンシップ、国内・海外旅行、、、。その後、各グループで議論。来週から本番。