「図解塾」の「世界の名著」シリーズ:西洋と中洋(インド)が終了。次回は東洋(中国)

「図解塾」の「世界の名著」シリーズは、西洋と中洋が終了。次回は東洋(中国)で「論語」から「毛沢東語録」までを講義し、終了する予定。

〇西洋:ダーウィン種の起源」。ハイデガー存在と時間」。トインビー「歴史の研究」。ケインズ「雇用・利子・貨幣の一般理論」。サルトル存在と無」。ボーヴォワール第二の性」。フーコー「知の考古学」

〇中洋(インド):「ウパニシャッド」。「マハーバーラタ」。「ラーマ―ヤナ」。

以下、トインビーとケインズの図解。

以下、塾生の学び。

  • 久恒先生、みなさま、本日もありがとうございました。今回は、「図解コミュニケーション全集」第7巻「応用編1 世界の名著」の第6弾。「種の起源ダーウィン)」、「存在と時間ハイデガー)」、「歴史の研究(トインビー)」、「雇用・利子・貨幣の一般理論(ケインズ)」、「存在と無サルトル)」、「第二の性ボーヴォワール)」、「知の考古学(フーコー)」、「ウパニシャッド」、「ラーマーヤナ」、「マハーバーラタ」の10の名著について、解説がありました。 いつも以上に大量の情報だったので頭がついていけてなかったですが、このうちの「ラーマーヤナ」については思い出に紐づいたので理解しやすかったです。昔、中学生か高校生の頃に校外学習として国立民族学博物館に行き、そこのビデオテークでインドネシアの伝統的な影絵芝居を見たり、展示室で影絵の実物を見たりしたことがありました。美しい影絵と(言葉はわかりませんが)独特の語りが印象的で、どの国にも神話があるんだとインドネシアを身近に感じる貴重な体験でした。また今回の解説で、この叙事詩が仏典の説話として日本に伝わり平安時代末の平康頼の「宝物集」に紹介されていると知り、そんなに古い時代からつながっていたのかと驚きました。解説いただいたものが「世界の名著」ですから、それぞれが随分昔から日本に伝わっていたことに不思議はないのですが、書かれた時代に沿って解説いただくと、全体の大きな流れが見えてきて、「生きる」ということについての探求がつながっていると思い、難解ですが、毎回新しい発見があって楽しませていただいています。次回でこのシリーズは終わりますが、最後までワクワクする学びになると期待していますので、よろしくお願いいたします。
  • 久恒先生、皆様、本日もおつかれさまです。図解塾、先週に引き続きテーマは『世界の名著』について久恒先生からレクチュア頂きました。①『種の起源』 ダーウイン(1809-1882 イギリス、自然科学者) :神は居ない、「進化論」とは生存競争→自然淘汰→適者生存…環境変化に対する適応変化によるサバイバル積重ね、単純じゃぁない。②『存在と時間ハイデガー (1889-1976 ドイツ、哲学者) :「存在の意義」とは何か?人間が存在を意識する事ではじめて存在意味が認識される。一方人間はいつかは死ぬ「自己の有限性」。③『歴史の研究』 トインビー (1889-1975 イギリス、哲学者) :文明の発展法則、指導者が没落し解体されていく、自分で自分が変えられなくなったら終わり(まるでMRJ)。④『雇用・利子・貨幣の一般理論』 ケインズ (1883-1946 イギリス、経済学者) :修正(自動調整機能)資本主義→公共事業、政府が大事業発注→請け負った企業が活発化→消費需要up→投資需要up…金利引き上げ。モラルサイエンス内省・倫理・価値判断の学問、⑤『存在と無 サルトル (1905-1980 フランス、哲学者) :人間により存在が認められる→「自意識」、「自分は何者?」「次、何する?」自由⇔責任のセット、「自由の刑」…指示待ち人間になるな 。⑥『第二の性ボーヴォワール (1908-1986 フランス、哲学者) :「フェミニズム運動」「ウーマンリブ」をけん引、「女性らしさとは、男性が造った世界」…大モノ政治家が自らの発言で干される構図が最近増加中、要注意。⑦『知の考古学』フーコー (1926-1984 フランス、哲学者) :「構造主義者」現象の背後に構造(社会構造=バックグラウンド)あり。同じ言葉でも時と場所で意味が異なる…地層からの出土品と同じ:「知の考古学」。⑧『ウシャニパッド』 (インドで編まれた宗教文書) :梵(宇宙を支配する原理)と我(個人を支配する原理は一緒であるという教え(梵我一如=ぼんがいちにょ)、バラモン教の根本原理、「自分の目では自分は見えない」「水に溶けても塩味は分かる」。⑨『マハーバーラタ』 古代インドの偉大なる叙事詩:不条理により王(五王子)が追放の憂き目に。後に逆襲して王位を奪還。因果応報、勝った人を戒め、負けた人を励ます挿話、歌舞伎にもその流れが伝わっているといわれる(ちなみに東京都八王寺は、平安時代の僧侶が8人の王子を祀った事が由来、との事で関係性は無し)。➉『ラーマーヤナ』 マハーバーラタと並ぶ古代インドの2大叙事詩の一つ:こちらも不条理で追放された王子のリベンジ話で、仲良くなったサルと結託し鬼との決戦の末勝利!どこかの童話に似た筋書き。10件の名著を一気に解説頂き、それらいずれもが今の我々の生活に関わり続けていることは発見でしたし、インドの古代叙事詩に在ってはインドネシアや日本の伝統芸能にもその影響が感じられこれには、長い歴史的/地理的空間を経てもなお色褪せない「人類普遍のテーマ」(不条理に負けない、励まし)が込められている事が想像でき、本日の大きな学びとなりました。次回は『世界の名著シリーズ』のフィナーレとして「中国」を特集。孔子から毛沢東まで、日本人のマインド醸成に間違いなく深く影響を与え続けている作品群に今からワクワク致します。次回も宜しくお願い致します。有難うございました。
  • 久恒先生、皆様、本日も6月第1週の図解塾、ありがとうございました。「世界の名著」を図解で紹介され、感想を共有しました。西洋の名著と中洋(インド)の「世界の名著」が紹介されました。今回もどこかで聞いたことがあるような著者が多く、中には初めて聞く著者もいました。今回紹介されたのは、西洋の名著として「種の起源」ダーウイン、「存在と時間ハイデガー、「歴史の研究」トインビー、「雇用・利子・貨幣の一般理論」ケインズ、「存在と無サルトル、「知の考古学」フーコーが紹介されました。中洋(インド)の「世界の名著」としては、「ウバニシャッド」「ヴェーダ」に付随した古代インドの宗教哲学書群、「マハーバーラタ」伝・ヴィアーサ作、「ラーマーヤナ」伝・ヴァールミーキ作が紹介されました。西洋の名著で印象に残ったことは、ハイデガーの言葉の死を自覚して自分の存在の有限性を知ることが重要という言葉で、だからこそ毎日を精一杯生きようと思いました。 中洋(インド)の名著で印象に残ったことは、「マハーバーラタ」や「ラーマーヤナ」の物語で、どちらも共通した内容で、王子が追放されて旅をして仲間を引き連れて、ついには逆襲して勝利するという物語になっているような気がしました。追放されるということは、その人にとって、絶望的な出来事だが、希望を持って頑張れば、人生逆転するから、前向きに生きることが大切であるというメッセージがどちらの物語にも込められている気がする。当時の苦難を受けた人々にとって、精神的な支えになるような物語なので、多くの人々から、その物語を必要とされて広まったのではないかと思った。
    今日でも人々に希望や勇気を与える物語として、時代や国を超えて内容が変容しながらも似たような話が、世界中で必要とされたのではないかと思いました。次回も楽しみにしております。
  • 久恒先生、みなさま、今日は図解塾ありがとうございました。今日は「世界の名著」の西洋編と中洋(インド)編で、10の名著を久恒先生の図解で一気に駆け抜けました。西洋編ではダーウィン種の起源』、ハイデガー存在と時間』、トインビー『歴史の研究』、ケインズ『雇用・利子・貨幣の一般理論』、サルトル存在と無』、ボーヴォワール第二の性』、フーコー『知の考古学』の7冊。学生時代に憧れたり、かじってみた本もあって懐かしく楽しく伺いました。中でも印象に残ったのはダーウィン。進化論というと良く出てくる 猿→人間 という ‘’人類の進化‘’の図が印象的で、頭の中に必然的な進化のイメージがありましたが、 ダーウィンの結論 は 「生物は進化はするが、進化の方向性は決まっていない」というもの。 つまり人類は環境の変化による偶然の産物、たまたまだった、ということで、人類の存在の不思議さも改めて考えさせられる感じがしました。後半は中洋(インド)の名著3冊。『ウパニシャッド』と『マハーバーラタ』、『ラーマーヤナ』でした。  ウパニシャッド』はバラモン教の根本原理が書かれたものとのことですが、輪廻転生など、日本にも浸透している考え方があったり、叙事詩である 『マハーバーラタ』は歌舞伎の「鳴神」となっているなど、いろいろと影響を受けているところが面白いと思いました。次回は中国の名著。孔子から毛沢東までとのことで、こちらも楽しみです。
  • 本日もありがとうございました。盛沢山でした。今回はイメージしやすかったです。偉人と呼ばれる方々が、その時代背景、環境、と絡めて、とても深く考えて掘り下げてこられたこと、それがあっての、今の当たり前として感じていることなのだと思いました。最初は、『種の起源ダーウィン。図に△、▲、○など、形であらわされていてわかりやすかったです。もし、△じゃなく□だったら、どうなっているか。『存在と時間』のハイデガーと、『存在と無』のサルトル。この二つは、当たり前と思っていることを深く深く考えて、「死を自覚し有限性を知ることが重要」というハイデガー、「自由な人間は行動に責任をもって生きる必要がある」というサルトル。ともに今必要なこと。そして、そのサルトル契約結婚したボーヴォワールの『第二の性』。女性は生まれながらに女性ではない!男女差別は社会全体に構造的問題として存在している。3人から、個人自身が気持ちのよい生き方を、他人に迷惑をかけずに自由にできるのが幸福だということ。前に『自由論』ミルで聞いたことの進化版だと思いました。 『歴史の研究』トインビーは、世界の歴史を文明単位で研究。トインビーの考える文明の関係が図によってあらわされていました。『雇用・利子・貨幣の一般理論』ケインズ、政府が積極的に財政支出を行う→投資拡大、有効需要拡大、消費需要拡大、→景気回復・雇用増加という流れ。
    西洋最後が『知の考古学』フーコー。歴史研究は、ある事柄の時代の社会構造を明らかにしていくことが重要。なるほど、考え方の違う社会構造では、言表に規定がかかっている。これは研究してもしきれない、終わりがないだなぁと思いました。西洋の名著の最終回でしたが、時代ごとに並べてあったので、知識の上に知識が乗っていく感じと、今につながっていることが分かりました。中洋からは3冊。『ウパニシャッド』では輪廻の説明から宇宙と人間の根本原理は一致する。という、なんとも壮大な。『マハーバーラタ』と『ラーマ―ヤナ』の物語から、似たようなお話は、どこの国にも童話としてあるのでは?と思いました。童話を聞いているうちにつらいことがあっても立ち向かえば幸せになるということを、諭されているような気がいたしました。今回もたくさん勉強できました。ありがとうございます。次回もどうぞよろしくお願いいたします。
  • 本日もありがとうございました。いつもの、本題に入る前の近況の部分、これもたいへん役立っています。「この1週間でどんなことがあったか」を言うとき、ごく短時間ですが自分自身の振り返りをすることができます。何も話せないときはちょっとバツが悪いですが。また、久恒先生の本の紹介もたいへん参考になります。AI関連の本が話題になっていましたが、まさに今、これからの時代を生きるのに何が大切かを考えさせてくれます。「知的生産の技術」で提起されていたいくつかのことと、つながっていますね。 さて、本題ですが、今日はダーウィン種の起源」、ハイデガー存在と時間」、トインビー「歴史の研究」、ケインズ「雇用・利子・貨幣の一般理論」、サルトル存在と無」、ボーヴォワール第二の性」、フーコー「知の考古学」、「ウパニシャッド」、「ラーマーヤナ」、「マハーバーラタ」と、西洋から中洋の10人を一気に学びました。いつものことながら、図1枚と解説文の2ページ構成でまとめてくださっているおかげで、全体を把握できてたいへん助かっています。ハイデガーサルトルの「存在」については、やはり手ごわい、難しいですね。トインビーやケインズは現在の社会や経済につながっているのである程度理解できるような気がします。中洋の叙事詩猿の軍団など西洋には見られない動物との関係、ひいては自然観をうかがい知ることができてたいへん興味深く思いました。次回は中国。いよいよ最終回。山の下り道に入り、前方に麓が見えてきた感じです。

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「名言との対話」6月7日。中村正直「天は自ら助くる者を助く」

中村 正直(なかむら まさなお、1832年6月24日天保3年5月26日) - 1891年明治24年)6月7日)は、明治時代の日本啓蒙思想家教育者

東京麻生出身。幕府同心の長男。四書、筆法、漢学、蘭学を学ぶ。1848年に昌平坂学問所にに入り、英語とともに佐藤一斎から儒学を学ぶ。1855年、学問所教授。甲府徴典館学頭、を経て幕府の御儒者となる。1866年、菊池大麓ら幕府の英国留学生を引率し渡英。幕府崩壊に伴って帰国し、静岡学問所教授。

1870年、S・スマイルズ『セルフヘルプ』を『西国立志編』(自助論ともいう)として翻訳刊行し100万部を超えるベストセラーになった。2年後にはJ・Sミルの翻訳本『自由之理』を刊行した。大蔵省翻訳御用をつめながら、家塾・同人社を開く。1974年に受洗。1875年、東京女子師範学校摂理になるなど女子教育と盲唖教育にも力を注ぐ。東大教授、文学博士、貴族院議員。

1885年に『今日新聞』(現「東京新聞」)い各界を代表する人物の投票結果で、「日本十傑」が載っている。10位が榎本武揚、6位が中村正直、5位が渋沢栄一、4位が鳩山和夫、3位が伊藤博文、2位が福地源一郎、1位は福沢諭吉であった。

中村正直の『西国立志編』は西洋の偉人その他の人物の生き様を多数紹介したもので、私も読んだ。みな、志を立てて人生を自力で切り拓いた人たちで、この本を読んだ明治の青年たちは、奮い立ったであろうことが容易に想像できる。その例を挙げてみよう。

『北村透谷集』は、没後に島崎藤村が編んだものだ。この本のなかで、福沢諭吉中村正直(敬宇)の比較を論じていたのに興味を持った。「『西洋事情』で一世を風靡した福沢は平穏なる大改革家である。しかしこれは外形の改革である。福沢は旧世界を嫌い、新世界に身を捧げた。一方、内面を扱う思想界では、中村正直がいる。彼は適用家、保守家である。儒教的思想をもってスマイルズ『自助論』から選び取った書を書いた。中村は旧世界と新世界の調和を保っていた、との評価をしている。透谷は「福沢翁と敬宇先生とは新旧二大潮流の尤も視易き標本なり」と結論している。

「日本のビール王」馬越恭平は座右の書とした。

銀行家の三島弥太郎は、7歳で中村正直の私塾・同人社分校で普通学と英語を学んでいる。

足尾鉱毒事件の解決にあたった田中正造は、2年9か月の牢獄生活を送るが、この間、「西国立志編」を読んで発奮する。

エーザイ創業者の内藤豊次は旧制中学2年の時に、サミュエル・スマイルズ西国立志編』を読んで感激し、「天は自ら助くるものを助く」を座右の銘とした。

人類学者の鳥居龍蔵は、尋常小学校1、2年年の間に二度、落第し、辞めている。その後は、独学で書物を読み進めていく。新聞を読み、中村正直の「西国立志編」を好んだ。

中村正直西国立志編』(1870年刊)と、3つ年下の福沢諭吉『が中津市学校をつくる時のはなむけの書『学問のすすめ』(1872年刊)は、明治の青年たちの生き方に多大な影響を与えた。中村が「Heaven helps those who help tremselves」を「天は自ら助くる者を助く」と訳したのは学識が広く深いがための、名訳である。

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」から始まり、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」と学ぶことを強調している福沢諭吉学問のすすめ』と、その生き方の実例のモデルを紹介した中村正直訳『西国立志編』の影響力が、明治国家建設のエネルギーとなったのだ。