映画「ザ・サークル」--SNS社会の光と影を描くサスペンスエンタテイメント

映画「ザ・サークル」を多摩センターでみる。

原作は2013年にベストセラーになったデイヴ・エガーズの小説「ザ・サークル』。SNS社会の光と影をスリリングに描く、サスペンスエンタテイメント作品。

我々はどこへ向かっているのかを問う作品。

プライバシーに価値を見いだせるのか?

常にモニタリングしている状態でも自由と言えるのか?

巨大な監視システムから抜け出す権利は守られるのか?

そもそも選択権はあるのか?

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 光:「隠し事もなくなれば、世界はもっとよくなる」「ユートピア」「人生の総てを共有する」「インターネットを使った新しいムラ社会」「透明化」、、。

影:「私を晒し者として公へと剥き出しにする」「想像を絶する暗黒への道行き」「ディストピア」「強迫的な人間関係」「終わらない競争のストレス」「民主主義がポピュリズム衆愚政治)、ファシズム全体主義)へ姿を変える」「人々が自ら好き好んで監視される社会」「「プライバシーは罪である」「村八分」、、、。

数千万人に見つめられるという圧倒的な疑似体験は迫力満点だ。問題を提起し、最後に放り出される。そこで自問させ、考えさせる。避けることのできない潮流の中でも、中庸と警戒心が必要か。

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友人からの通報で、阿川宏之さんの家族の紹介の中に私が出ていることを知った。三男阿川淳之さんの項「社会に出てからは日本航空に勤務しており、仙台支店時代は、久恒啓一さん(現・多摩大学学部長)と共に勤務し、酒を酌み交わす仲だったそうです。」とある。少し違うが、まあいいか。

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「名言との対話」11月20日。林達夫人は先ず何よりも自分自身であらねばならぬ。人のなすべきことは、自己実現であり自己拡大である。」

林 達夫(はやし たつお、1896年11月20日 - 1984年4月25日)は、日本の思想家評論家

京都帝大文学部哲学科卒。東洋大学文化科教授。岩波書店「思想」「世界」の編集。写真家集団日本工房。昭和研究会。東方社理事長。戦後は、貸本屋「湘南文庫」から始まる。鵠沼夏季自由大学。中央公論出版局長。鎌倉大学校文学科長。日英交流のあるびよん・くらぶを創立。文藝春秋共産主義批判。明治大学教授。平凡社で「世界大百科事典」の編集責任者。ファーブル「昆虫記」を翻訳。

 「批評家は自らの「好き嫌い」を「是非曲直」のオブラートに包んで差し出すところのインチキ薬剤師である。人が掴まされるのは――中味は要するに彼の「好き嫌い」にすぎない。」

自己実現が大事だという人は多いが、「自己拡大」という言葉を使う人は始めてだ。林達夫の生涯にわたる縦横無尽の活躍をみると、好奇心のおもむくままに、自己をあらゆる方向に拡大していこうとする強い意志が感ぜられる。錐で揉み込むようにある方向に自己を実現していくのではなく、どこまでも自己の可能性を広げていこうとする姿勢はこの人の真骨頂だ。林達夫が百科事典を編んだのは当然に成り行きだったと思う。